平成27年度 全海運 事務局長会議を開催しました

全海運は2月18日(木)14時30分より、東京都・ホテルルポール麹町において、会員18組合を対象とした「平成27年度 事務局長会議」を開催致しました。

平成22年3月4日に事務局長会議を開催してから5年ぶりの開催となりました。前回は、当時、リーマンショック後でもあり、厳しい状況下においての「内航海運の現状と課題」、及び当時の「内航海運暫定措置事業の現状と今後のあり方」等について勉強会を開催しました。

今回は、平成28年4月1日以降、暫定措置事業の内容が大きく変わる為、平成28年度以降の細則改正に関する留意事項等について内容を深くご理解頂きたく、今回の事務局長会議を開催する運びとなりました。

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 定刻通り14時30分より中島専務理事の司会で進行し、「本会議は2部構成となっており、第1部では、昨年11月の事務局研修会後、総連合会において平成28年度以降の暫定措置事業に関するQ&A集が作成されたことから、Q&A集を基にご説明させて頂きながら、皆様と共に勉強していきたい。第2部では、前回の事務局研修会で時間的制約によりご発言が出来なかった各組合が抱える課題について改めてご披露頂き、課題について共に認識を共有し解決策・対応策を見出すことができればと考えている。また、その意見等を全海運の委員会等に披露し、対応していきたい」と挨拶を述べました。

 次いで藤井会長より、「昨年の事務局研修会では暫定措置関係に関する部分の質疑応答時間が取れなかったので、本日は、皆さんのご意見を十分聞かせて頂き、しっかりと対応を図って行きたい」と挨拶し、早々に会議へ入りました。


藤井会長


中島専務理事

 第1部に関しては高橋業務課長より説明を行いました。

「平成28年度以降の細則改正に関するQ&A」は全34問で、

① Q1~Q14は、代替船制度に関する事項

② Q15~Q18は、環境性能基準に関する事項

③ Q19は、建造納付金算定方法について

④ Q20~Q34は、その他の事項

と、分かれており、項目毎に質疑応答を行いました。

 これらの項目以外に、「被代替船資格証明書の取扱いについて」も別途詳細な説明を行い、 また、Q19の「建造納付金算定方法」は、全海運で独自に作成した表を用いて説明を行い、理解を深めて頂きました。
 
 引き続き「プッシャー・バージ及び非自走船舶に関する取扱いについて」の改正後の留意点について荒木次長より説明を行い、特に質疑はなく、第1部を終了しました。


荒木次長


高橋業務課長

 第2部開催に先立ち、所用により第1部の途中から出席された寺岡副会長(総務委員長)より、「①日頃の組合業務に対する感謝②例年の事務局研修会は時間に追われて消化不良になるケースも多いので、本日の会議では、日頃の要望・提案等を本音でじっくりと聞かせて頂きたい③それらの意見等を精査し、全海運で解決出来る事項は総務委員会等へ上程し、場合によっては総連合会へ上程し、皆様のご意見を、これからの全海運の活動へ有意義に反映していきたい」と挨拶を述べられました。


寺岡副会長(総務委員長)

 第2部の「各組合が抱えている課題について」は、席順にマイクを回し、各2分~5分程度で意見をご披露頂き、意見交換を行いました。

組合
主な要望・意見・実態・課題等    (順不同)
【組合の現状】
・平成26年~平成27年は、後継者不足の為、休業・廃業が相次いだ。このまま休業・廃業が続くと組合自体の存続も危ぶまれる。
【船員対策問題】
・各船とも船員確保に苦しんでいると聞いている。
・平成24年より他組合と連携してモーダルシフト推進活動を行っており、今後も継続的に取り組んでいきたい。
【組合の現状】
・この10年で40社が退会した。今後の組合運営のシミュレーションを早目に行い対策を考えたい。
・組合役員の高齢化が進み、来年の役員改選期の時点で半数以上が70歳を迎える。
【組合の現状】
・組合業だけでは成り立たず、本業と兼務せざるを得ない状況。
・船員不足が顕著。
【組合の現状】
・内航事業者数182社(内訳:届出事業者3社、登録事業者:179社)
・暫定措置事業が実行された平成10年から比べて現在は組合員数、及び所有隻数共に半減している。現在の所有隻数274隻の内、暫定船が129隻。
【船員対策問題】
・地元水産高校から「水産高校の学生に対して求人が来ない」との声に対して、水産高校へ出向いて意見交換会を開催し、水産高校を紹介するチラシを作成配布に努めたところ、3年間で求人倍率が7倍に膨らんだ。
・水産高校からの要望で、採用試験の際、インターンシップの様に2~3航海乗船させて欲しいとの意見が出ている。
【組合の現状】
・10数年前に比べて組合員が半減し、組合費も比例して半減しており、このままの状況が続くと組合運営・維持が厳しい。
・組合員は中小企業でなく小・零細企業が多いので賦課金納入アップにも中々至らない。
【船員対策問題】
・船員対策については効率的な人員確保を考えるべき。内航船に特化した海上技術学校に重きを置いて積極的に誘致した方が効率的に船員を確保出来るのでは。
【要望】
① 組合事務推進費を引続きお願いしたい。
② 総連合会の構造改善の請求書に関して、異動等があった場合、変更事項を反映した請求書が手元に届くまでに時間が掛かり過ぎる。電算化が進んでいるこの時代なので、タイムリーにデータ反映・手配出来るシステムを構築して欲しい。
【組合の現状】
・10年で35%減少、5年で15%減少しており、厳しい状況が続いている。
【船員対策問題】
・船員不足のXデーは目前に迫っているので、少しでも船員不足が解消できる為の暫定的措置を考えるべき。
例えば、波動性で余裕が出る船員の労働力を有効活用する為に「派遣制度」「在籍出向」等を検討してはどうだろうか。
【組合の現状】
・この5~6年は約80社で推移しているが約4割が利用運送事業者である。
【船員対策問題】
・海上技術学校にて、内航海運説明会、及び父兄会を毎年1回開催し、水産高校でも内航海運説明会を行っているが、水産高校から内航海運への就職率が低いのが現状。
・来年からは自衛隊へ趣き、運輸局と連携して内航海運のアピールに努めていく予定。
【組合の現状】
・船舶全体の約7割が25年超船で老朽化、及び船員の高齢化が進み、2大高齢化が目立つ。このまま進むと安定・安全輸送が難しい。
・2020年のオリンピックに向け物流全般が活性化し、鉄鋼、及び砂利の輸送が増大することを期待する。
【組合の現状】
・組合の統廃合を検討しているが、各組合で設定している賦課金や組合費が異なる為、それぞれの組合の財産を統合することに大きな衝撃があり、非常に難しい。
【組合の現状】
・直近の課題は船員不足問題。
・組合運営は依然として厳しい状況。
【組合の現状】
・設立当時、約350社だったが現在は1割の36社。
・組合費を上げたいが事業者がより減少するのではないかという懸念から組合費のアップも出来ない。
【組合の現状】
・今の処、組合経営も安定している為、特に大きな問題はない。
・敢えて言うならば船員不足問題が少しずつ目立ち始めている。
【組合の現状】
・組合設立当時は事業者数が73社、現在は7社となり組合運営が非常に厳しい為、賦課金免除や事務推進費支給等を引き続きお願いしたい。
【船員対策問題】
・若年船員が定着しないので、徹底的に条件を改善し、抜本的な策を講じるべき。
【組合の現状】
・事業者数、及び船舶数は減少する一方である。
・当組合は利用運送事業者が多いが、利用運送事業者が組合に加入するメリットは何か。
【要望】
・組合員より「事務室を一時的に船員室として認めてもらいたい」という要望が出ているので、何らかの対応をお願いしたい。
【組合の現状】
・現在の会員数は6社15隻で、他の事業者はそれぞれ他組合へ所属しているため、これ以上の会員増加は期待出来ない。
【要望】
・平水区域を航行する500総トン未満の船舶は、大部分が家族で運航しており後継者不足が深刻な問題。斯様な中、船舶の船型等に応じた必要且つ有効な甲板部及び機関部の海技免状を持つ船長及び部員1名の乗船体制であれば、航海の安全性は充分確保され機関長の軽減は可能と捉え、機関長が省略できるよう省令改正や軽減措置を懇願。
【組合の現状】
・内航海運という業界がまだまだ知られていないので、もっとPRするべき。当組合では「内航海運の明日を考える会」を結成して馴染みの薄い内航海運の認知度を高める為に努めている。
・利用運送事業者と貸渡事業者との歩み寄りなしでは運賃アップには至らないのではと危惧している。
・モーダルシフトの取組みとして荷主等へのPRに努めている。


北海道内航
山口専務


東北内航
石井専務


新潟内航
山田局長


関東沿海
矢野局長


千葉県内航
三沢局長

横浜
横浜地方
狩野専務


静岡県内航
浅場局長

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中部沿海
伊藤専務

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東海内航
二宮専務


大 阪
香川専務


沿岸曳船
中田局長

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兵 庫
内藤専務


和歌山県
紺野専務


中海連
末光専務


四海連
貞廣局長


九海連
山口専務


沖縄地方
金城専務

 各組合からの意見を通して、

① 事業者減少による組合の維持が不安
② 船員の高齢化による船舶維持の懸念

等が共通した課題であり、また単年度赤字の組合も多いことが判明し、これらを受けて藤井会長より「中海連においては積極的に統廃合を進めるよう検討中であり、各地区も暫定事業が終了する前に早く統合を検討し、組合存続のために前向きに検討して欲しい。船員不足については全海運の船員対策検討委員会で検討している事案を総連合会へ上程し、少しでも船員不足解消に努めたい。色々と模索中ではあるが今後とも船員対策に関して邁進して参るので、引き続き皆様からのご協力をお願いしたい」と述べられました。

 最後に中島専務より「全海運では内航海運活性化プロジェクトチームや船員対策検討委員会等で、将来の組合の在り方や船員不足に関して引き続き積極的に議論を続けて参りたい。また、本日の各組合の意見を全海運正副会長会議や諸委員会で披露させて頂き、検討・改善を図って行きたい」と述べ、会議は予定の時間を押して終了しました。

 17:15より高橋業務課長の司会により懇親パーティを開催し、九州地方海運組合連合会・山口専務より乾杯のご発声を頂きました。

 最後は大阪海運組合・香川専務より中締めのご挨拶を頂き、最後まで和やかな雰囲気で懇親を深めました。

乾杯のご発声

九海連・山口専務

中締めのご挨拶

大阪・香川専務

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懇親会の様子

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懇親会の様子

 今回、久しぶりの事務局長会議となりましたが、例年の事務局研修会とはまた違った意見や要望を聞くことが出来、全海運としては、今後も事務局長会議を開催し、各組合が抱える問題を共に解決・検討して参りたいと改めて感じました。

 今回の貴重なご意見を無駄にしないよう、各会議や関係部署へ上程し、少しでも解決へと導いていけるよう検討したいと思います。