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本年度の我が国経済は、米国の金融危機に端を発した景気後退から、中国を中心としたアジア経済の好調に支えられて、漸く内需・外需共に緩やかながらも回復傾向にあった。特に鉄鋼業界にあっては、粗鋼生産量が1億トン台に回復するなど好調な動きを示していたが、急速な円高の進行による原油価格の急騰、エコカー減税並びにエコポイントの打ち切り等での消費控えが顕著になるとともに、平成23年3月11日発生した東日本大震災により、多くの尊い命が失われると同時に多くの家屋・事業所の流失により職場を失い、日本の産業を支えていた多くの企業が生産停止を余儀なくされるなど、更には福島原子力発電所事故も加わり、経済成長に大打撃が加えられた。
内航海運業界は、未曾有の大災害を受けて「東日本大震災対策本部」を設置し、緊急支援物資等の輸送に業界挙げて取り組んでいる処である。
なお、当連合会は被災者救援のための義援金300万円拠出を決定し、日本赤十字社に寄託した。
斯様な背景の中、内航海運を取り巻く経済環境は、リーマンショック以来経済の急激な変化から海上輸送需要量の減少により船腹過剰状態となり、運賃・用船料の低迷、代替建造意欲の衰退等閉塞状態が続いている。
また、過剰船腹解消のため21年度補正予算として約100億円の政府保証が講じられ、暫定措置事業規程を活用した船齢16年以上の「老齢船処理促進事業」が実施され、交付金対象全船の処理は終わったものの、事業廃止又は協業化を条件とされたこと、モラトリアムの実施、雇用調整助成金制度の活用等が相俟って期待された効果を出すことは出来なかった。
一方、原油価格は落ち着きを取り戻しつつあったが急速な円高の影響により、第4四半期に入って高騰の兆しが見え始め、且つ又船腹過剰感から安全・安定輸送を維持するための老朽船舶代替建造は昨年度とほぼ同様の建造申請量に留まり、建造申請が伸び悩んだことに伴い、交付金の原資となる建造納付金収入も又伸び悩むこととなった。
その結果、交付金交付について、上期は交付枠の確保が困難となり、昨年度下期に続いて見送らざるを得ない状況となったが、下期は若干の原資の確保が出来て交付が実行できた処である。
更に、運賃・用船料修復を目的に活動展開している船主連絡協議会では、契約更改に向けた用船料修復運動の一環として、平成15年度を皮切りに毎年、鉄鋼・石油・ケミカル等の各主要オペレーターを訪問し、改善方協力要請と共に船主とオペレーターが共生していくための意見交換を行っている。今年度に於いても昨年度算定した船舶コストを見直し、九州地区にて地方会議を開催し、全体会議の後、小ブロックに分かれて地元船主との意見交換を行った上、これら意見を踏まえながら現状用船料との乖離を具体的に提示して用船料の改善を強く訴えるため、貨物船は昨秋、油送船は今春にオペレーター訪問を実施した。
また、数年来社会的問題となっている少子化傾向に伴い、全産業における若年労働力の絶対数が毎年減少傾向にあるが、特に内航海運業界においては船員の高年齢化に伴う海上職務からの離脱に対し、益々若年船員の確保が困難となっているが、船舶の安全運航に大きな要素を占めている船員労働力の安定的確保と言う課題については、魅力ある職場環境の整備は勿論のこと、若年船員OJT(船上教育訓練)制度の活用と共に日本船員福利雇用促進センター(SECOJ)との連携によるトライアル制度の活用により、若年者の内航海運への就職を促進している処である、
内航海運業界としては、船員数の減少傾向に対する若年船員の確保と定着率の向上等、労働環境の改善と魅力ある業界構築が急務の課題となっており、本年度においても船員労働力の安定的確保問題は、内航海運業界喫緊の重要課題の一つであった。
加えて政府の行政刷新会議におけるカボタージュ規制の緩和問題、暫定措置事業の早期解消問題等難問山積の中、内航海運業界として国家安全上の問題は勿論のこと、内航の存続すら危うくするカボタージュ規制緩和は到底受け入れられるものではなく、各組合の協力を仰ぎながら政府への反対陳情を展開している処である。
また、暫定措置事業の早期解消問題は借入金返済義務履行と引当資格未行使船への対応と言った困難な問題を如何に解決させていくかの検討を重ねている処である。
また、当連合会は組合員各位への迅速な情報提供と、地球環境保護の観点から徐々にペーパーレス化を進めるため、平成19年3月20日インターネット上にホームページを立ち上げ、迅速な情報提供とあらゆる情報の共有化推進に努めている処である。
なお組合員のみならず、広く一般世間に対する内航海運業界の広報媒体としての定着を目指し、現在も試行錯誤中である。
斯様な状況の中で、当連合会も構成機関等の審議を通じて広範な意見集約を行い、全海運意見として関係方面へ具申した。
以 上
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