第53回通常総会でのご挨拶

会長 小比加 恒久obika11

全国海運組合連合会会長に選任されました小比加でございます。
四宮前会長から引き継いで3期日となるわけですが、この2年を振り返りますと、2年前は2008年9月のリーマンショックの影響から輸送量が激減し、用船料値下げや返船が相次ぎ、急遽「内航海運緊急不況対策」を策定して頂きました。2010年の上期において、輸送量も回復傾向になりましたが、下期に入りエコカー減税の廃止、エコポイントの打ち切り等の影響から、また輸送量は伸び悩んでいたところに、この3月11日の東日本大震災の発生でした。その直後から業界挙げて震災復興に向けた最大限の努力をしておりますが、被災範囲が広く港湾、倉庫だけでなく荷主にも大きな被害をもたらしているのと、東京電力福島原子力発電所の事故の影響が重くのしかかっています。今後の震災復興関連の輸送に関しては、もう少し時間が必米なようです。
2年前に私は今後の課題として、①業界の地位向上②組合のあり方、の2点を挙げた記憶がありますが、今回の震災直後にとった震災復興に向けた業界の姿勢は、少なからず評価されたと思っています。
先日、外交ジャーナリストの手嶋龍一さんの講演を聞く機会がありました。「苦難のさなかのリーダーシップを考える~東日本大震災とビンラディン襲撃」のテーマでした。今回の襲撃は非常に時間をかけたもので、その間にアメリカは情報(intelligence)について、収集・分析・再検討を繰り返したが、今回の大震災での日本の対応は、情報収集の段階からつまずいているということでした。話し始めると長くなります。会員数1,885事業者の全海運としても、情報は皆様から与えて頂けるとして、その分析というか使い方は、先入観を持たすに初心に戻ってやって行きたいと思います。また、暫定措置事業の問題に関しましても、オーナー組合として主張すべきところは主張し、十二分に皆様の意見を反映して頂けるように努めてまいりたいと存じますので、重ねてご協力のほどお願い申し上げます。

2011年(平成23年)6月10日掲載