No.455:前年比 生産4ヵ月振り減、国内出荷7ヵ月連続減 鉄連、2013年2月の普通鋼鋼材需給速報発表
No.456:倒産累計728件、28ヵ月連続で、前年同月比増加 帝国データバンク、金融円滑化法利用後の倒産調査

平成25年4月6日(土)Vol.454

前年比 生産4ヵ月振り減、国内出荷7ヵ月連続減

鉄連、2013年2月の普通鋼鋼材需給速報発表

 
日本鉄鋼連盟はこのほど、2013年2月の普通鋼鋼材需給速報を発表した。概要は次の通り。

2月の普通鋼鋼材生産は、前年同月(597.8万トン)比18.2万トン・3.0%減の579.6万トンと4ヵ月振りの減少となった。また、前月比でも49.9万トン・7.9%減少した。

2月の出荷は、国内向けは388.0万トンで、前年同月比では10.9万トン・2.7%減と7ヵ月連続の減少となった。また、前月比では12.2万トン・3.2%増加した。輸出向けは218.4万トンで、前年同月比で18.3万トン・9.1%増となり、8ヵ月連続の増加となった。また、前月比では14.2万トン・6.1%減少した。

この結果、出荷合計では、前年同月(599.1万トン)比7.4万トン・1.2%増の606.5万トンと4ヵ月連続の増加となった。また、前月比では2.0万トン・0.3%の減少となった。

2月末のメーカー・問屋在庫は、前月末(665.8万トン)比26.9万トン・4.0%減の638.9万トンで、2ヵ月振りの減少となった。内訳をみると、メーカー在庫が前月末(533.3万トン)比27.2万トン・5.1%減の506.1万トンと2ヵ月振りの減少となった。また、問屋在庫は前月末(132.5万トン)比0.3万トン・0.3%増の132.8万トンと2ヵ月振りの増加となった。

国内・輸出別では、国内向在庫が前月末(548.9万トン)比20.2万トン・3.7%減の528.7万トンと3ヵ月振りの減少となった。また、輸出船待在庫は前月末(116.9万トン)比6.7万トン・5.7%減の110.3万トンと2ヵ月振りの減少となった。

在庫増減についてみると、在庫が前月末比1万トン以上減少した品種は、鋼帯(幅600㎜以上)(17.7万トン減の154.3万トン)、冷延広幅帯鋼(4.4万トン減の56.6万トン)、亜鉛めっき鋼板(2.6万トン減の100.8万トン)、鋼板(1.7万トン減の62.6万トン)、特殊線材(1.0万トン減の4.1万トン)であった。一方、在庫が前月末比1万トン以上増加した品種は、鋼管(1.3万トン増の51.1万トン)、H形鋼(1.2万トン増の28.2万トンであった。

2月末の在庫率(在庫&出荷)は、前月末の109.4%から4.0ポイント低下し105.4%となったが、11ヵ月連続で100%を上回った。うち、国内在庫率は前月末の146.0%から9.8ポイント低下し136.2%となった。

普通鋼鋼材需給速報 2013年2月 Excel

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平成25年4月6日(土)Vol.455

倒産累計728件、28ヵ月連続で、前年同月比増加

帝国データバンク、金融円滑化法利用後の倒産調査

 
帝国データバンクは4月4日、中小企業金融円滑化法で返済条件を緩和された企業の倒産件数が2012年度は、前年度に比べ73%増え428社になったと発表した。負債総額は2倍の3 449億円だった。支援を受けながら思うように回復せず、事業継続を断念するケースが増えている。

円滑化法を施行した09年12月から今年3月までに、円滑化法の適用を受けながら倒産した企業は累計で728社となり、負債総額は5 390億円だった。件数は28ヵ月連続で前年同月に比べ増えており、融資条件の変更を繰り返しても経営再建が思うように進まない実態が浮き彫りになった。

全体の倒産件数は円滑化法の効果で低水準に抑えられている。帝国データによると12年度は1万1 000件程度。リーマン・ショック前の08年度に比べ2割程度少ない水準にとどまる。

円滑化法は今年3月末で期限が切れた。金融庁や金融機関は「円滑化法の期限切れ後も対応は変えない」としているが、対象企業の経営再建が進まなければ今後は倒産が増える可能性がある。

同調査の概要は次の通り。

はじめに

2009年12月に施行された中小企業金融円滑化法(以下、金融円滑化法)が、3月末にその適用期限をむかえた。金融機関に対し「(借手企業からの)貸付条件等の変更要請に応じるように努める」という努力義務を課した同法は、リーマン・ショック後、厳しい経営環境に置かれていた中小企業の資金繰りを支え、結果として企業倒産を抑制させた。しかし、その一方で、金融機関から貸付条件等の変更という支援を受けていたにも関わらず、経営再建に失敗し、行き詰まってしまう企業が相次いでいるのも現実である。

帝国データバンクでは、金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等を受けていたことが取材で判明した企業倒産を「金融円滑化法利用後倒産」と定義。「金融円滑化法利用後倒産」は、2009年12月から集計を開始しており、今回は2013年3月までの倒産(負債1000万円以上、法的整理のみ)について分析した。なお、前回調査は2012 年10月4日。

調査結果

3月の「金融円滑化法利用後倒産」は42件判明。これにより2009年12月の集計開始以降の累計は728件(負債総額は5 390億3 300万円)となった。年度別でみると、2011年度は247件であったのに対し、2012年度は428件で前年度比73.3%の大幅増加を記録している。

1.「金融円滑化法利用後倒産」の発生状況  2013年3月の「金融円滑化法利用後倒産」は42件判明、前月(33件)を27.3%、前年同月(26件)を61.5%と大幅に上回った。これにより、前年同月と比較可能な2010年12月以降、2013年3月まで28ヵ月連続で前年同月を上回り、累計728件となった。

年度ベースでも、2012年度は428 件で前年度比73.3%の大幅増加を記録。企業倒産件数全体が一進一退で推移している中、「金融円滑化法利用後倒産」は、明らかな増加傾向を示していると言える。

また、2012年度の負債総額は3 449億7 400万円。2011年度(1 693億8 400万円)の約2 倍にまで膨れあがっている。

2. 業種別件数

2012年度の「金融円滑化法利用後倒産」を業種別にみると、製造業が127件(構成比29.7%)でトップ。以下、建設業の91件(同21.3%)、卸売業の79件(同18.5%)と続く。2011年度と比較すると、運輸・通信業、サービス業、不動産業の3業種で前年度比2倍以上の増加となった。

集計開始以降の累計を業種細分類でみると、土木工事と建築工事が各35件判明したほか、内装工事が16件、土木建築工事が12件、管工事が10件と件数上位業種のうち多くが建設業であった。

このほか、燃料費高騰の影響を受けている貨物自動車運送(24件)、受注単価が下がり続けている印刷業(17件)など、業界環境が厳しい業種が上位を占めた。

3. 最近の「金融円滑化法利用後倒産」

事例 日 A社(園芸用品・日用雑貨卸)

2008年頃から売上が減少したことに加え、低価格品が主体であったため利幅も薄く、資金繰りが厳しくなったため、2012年8月にメーンバンクに対する返済条件を変更。しかし、状況せず、メーンバンクに追加融資を要請したものの応じてもらえなかったことで、資金繰り破綻が決定的となった。同年12 月に事業停止し、自己破産を申請した。

月 B社(鋼材・建設資材卸)

2008年頃から公共工事減少に伴い売上が減少、粉飾決算により架空の売上を計上するようになった。2012年9月に資金繰りがひっ迫したため、メーンバンク他複数行へ融資を要請したが、決算内容を疑われ拒絶される。返済条件の変更は承諾されたために、一時的に資金繰り破綻は回避し、中小企業再生支援協議会へ相談していたものの、同年12 月に資金繰りに行き詰まった。

火 C社(スーパーマーケット経営)

かつては県内トップクラスの業容規模を誇っていたが、同業他社との競合から売上が減少。2011年9月に全取引金融機関に返済条件の変更を要請し、2012年5月までの間、元金返済を一時停止するとの同意を得た。しかし、5月末までに新しい返済計画に対する同意が得られなかったことで、一時停止の継続に関する同意も得られず、同年7月にメーンバンクから期限の利益喪失通知を受け取るに至った。その後、信用収縮が起こり2013年1月に民事再生法の適用を申請した。

4. 今後の見通し

企業倒産件数全体をみると、金融円滑化法施行前の2008年度が1万3 234件であったのに対し、同法施行後は件数が減少し2012年度は1万1 000件程度となっている。同法による倒産抑制効果は大きかった。

しかし、同時に、複数回条件変更を行っている企業が全体の8割を占めたり、経営改善計画未策定の企業が増加したりと、弊害も拡大している。

「金融円滑化法利用後倒産」は、「金融支援を受けていたにも関わらず倒産した企業」を表したものである故に、そうした弊害が数値化されたものと捉えることができる。

つまり、経営改善計画もなく倒産リスクの高い企業の一部が倒産として表れているため、その推移は、今後の企業倒産の推移を予見するためには重要な指標と言えよう。金融円滑化法終了後も、各種中小企業支援策は実行されている。  しかし、それに甘んじて経営課題の解決を先送りしている限り倒産増加リスクは払拭できず、この「金融円滑化法利用後倒産」の推移のように、企業倒産全体も今後大きく増加する可能性がある。

【添付資料】 表1 表2 図1 図2

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