No.729: 生産 前月比6.6%低下 経産省 1月の鉱工業生産・出荷・在庫速報発表
No.730: 販売 4ヵ月連続前年割れ エネ庁 1月の石油統計速報発表
No.731: 粗鋼生産 前年比3カ月連続増 燃料油生産 前年比2カ月連続減 経産省 1月の生産動態統計速報発表

平成30年3月6日(火)Vol.729

生産3カ月連続上昇で暦年は3年振り増

経産省 12月の鉱工業生産・出荷・在庫速報発表

 

経済産業省は2月28日、1月の鉱工業生産・出荷・在庫速報を発表した。経産省では1月の概要として、①1月は生産、出荷、在庫は低下、在庫率は上昇であった ②製造工業生産予測調査によると2月は上昇、3月は低下を予測している ③総じてみれば生産は緩やかに持ち直している、としている。概況は次の通り。

1月の生産は、4カ月振りの低下で、低下幅も大きい 低下寄与が大きいのは、輸送機械と汎用・生産用・業務用機械。2月は回復するも、3月は再び低下。基調判断は「生産は緩やかな持ち直し」に引き下げ

平成30年1月の鉱工業生産は、季節調整済指数99.5、前月比マイナス6.6%低下と4カ月振りの前月比低下となった。その前月比低下幅も非常に大きな値となっている。

この1月の動きだけをみると、非常に生産の基調が悪かったように思えるが、そもそも1月の生産計画は、昨年12月調査の段階から大きめの低下が見込まれていたので、「想定されていた生産減」だ。

昨年12月の生産からの反動的側面も大きいので、3カ月平均でならしてみると、昨年11月から今年1月までの平均指数値が103.2となる。昨年第4四半期の生産指数は104.3で、1月までの3カ月平均は、それより低い値となっている。昨年第3四半期の102.5よりは高い水準を維持しているが、昨年第4四半期のような勢いにはならなかった。

 

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1月の鉱工業出荷は、指数値98.3、前月比マイナス5.6%と3カ月振りの前月比低下となった。前年同月比は2.1%上昇で、15カ月連続で前年同月比上昇が続いているので、水準はある程度維持されている。

この出荷指数値98.3は、昨年の3月(98.4)、5月(98.2)に近い水準だ。ちなみに昨年第1四半期の出荷指数98.5だった。昨年第4四半期の指数値は101.4だったので、平成30年の鉱工業出荷のスタートは、少し低いところからのスタートとなった。

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平成30年1月の鉱工業生産では、15業種全てが前月比低下だった。1月の生産低下への影響度、寄与が特に大きいのは輸送機械工業、汎用・生産用・業務用機械工業だった。輸送機械工業の寄与、全体低下寄与の半分近くになっており、汎用・生産用・業務用機械工業がその半分程度という関係。昨年12月は、この2業種の上昇寄与が大きかったので、その反動がそのまま1月に顕在化したようだ。

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2月上旬に実施した平成30年2月、3月の生産計画を調査した、生産予測調査の結果である。2月の生産計画については、調査結果そのままを集計すると、前月比9.0%と大きな上昇を見込むという結果になっている。この2月計画値に含まれるバイアスを補正すると、前月比4.7%程度の上昇という計算結果なので、比較的高めの生産上昇計画になっているとはいえ、1月のマイナス6.6%低下をカバーするほどの上昇にはならないものと思われる。

3月の生産計画は、補正前の2月計画から前月比マイナス2.7%低下するという結果だった。2月実績が低下することによって、3月の生産計画の低下幅も緩和されるはずだが、他方、計画の下方修正もあるかと思われるので、3月の生産計画の勢いも、あまりよくない結果と解釈すべきかと思われる。

製造工業生産予測指数 (季節調整済前月比(%))

注)▲はマイナスを示す。
平成30年2月見込み 平成30年3月見込み
平成30年2月調査(今回) 9.0% ▲2.7%
平成30年1月調査(前回) 5.7%

製造工業生産予測指数の補正値 (季節調整済前月比(%))

試算値 予測調査結果
2月前月比 4.7%
(3.6%~5.7%)
9.0%

平成30年1月の鉱工業生産は前月比マイナス6.6%と4カ月振りの低下だった。15業種全てが前月比低下となっていた。先行きの生産計画でも、2月は大きめの増産計画となっているが、1月の低下分を完全に回復する様相ではない。さらに、3月は再び減産計画となっており、その生産計画水準も昨年12月は下回るものとなっている。

こうした状況を踏まえ基調判断については、「生産は緩やかな持ち直し」と一段、引き下げたい。

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平成30年3月6日(火)Vol.730

販売 4ヵ月連続前年割れ

エネ庁 1月の石油統計速報発表

 

資源エネルギー庁は2月28日、1月の石油統計速報を発表した。概要は次の通り。

1.原油の動向

1月の原油輸入量は1,686万㎘、前年同月比98.9%と2カ月連続で前年を下回った。輸入量の多い順にみると次の通りとなっている。

(1)サウジアラビア……605万㎘、前年同月比85.1%

(2)アラブ首長国連邦……404万㎘、前年同月比113.0%

(3)クウェート……154万㎘、前年同月比112.9%

(4)カタール……150万㎘、前年同月比143.1%

(5)イラン……100万㎘、前年同月比97.1%)

なお、今月の中東依存度は89.5%、前年同月に比べ3.4ポイント増と6カ月連続で前年を上回った。

2.燃料油の生産

燃料油の生産は1,519万㎘、前年同月比93.4%と2カ月連続で前年を下回った。油種別にみると、軽油及びA重油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、ジェット燃料油、灯油及びB・C重油は前年同月を下回った。

3.燃料油の輸入、輸出

燃料油の輸入は352万㎘、前年同月比109.1%と6カ月連続で前年を上回った。輸出は250万㎘、前年同月比89.8%と3カ月振りに前年を下回った。

4.燃料油の国内販売

燃料油の国内販売は1,608万㎘、前年同月比98.3%と4カ月連続で前年を下回った。油種別にみると、灯油、軽油及びA重油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、ジェット燃料油及びB・C重油は前年同月を下回った。

5.燃料油の在庫

燃料油の在庫は911万㎘、前年同月比95.5%と2カ月連続で前年を下回った。油種別にみると、ナフサ、軽油及びB・C重油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ジェット燃料油、灯油及びA重油は前年同月を下回った。

※添付資料

石油需給概要 平成30年1月 Excel

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平成30年3月6日(火)Vol.731

粗鋼生産 前年比3カ月連続増

燃料油生産 前年比2カ月連続減

経産省 1月の生産動態統計速報発表

 

経済産業省は2月28日、1月の生産動態統計速報を発表した。それによると粗鋼生産量は902.2万トンと前月比3.5%増で、前年同月比0.2%の微増となり、前年同月比では3カ月連続の増となった。また、石油製品生産量は燃料油計が1,518.6万㎘と前月比6.3%、前年同月比6.6%のともに減となり、前年同月比では2カ月連続の減となった。

【1月の鉄鋼生産】

1月の鉄鋼生産は、銑鉄は前月比では増加したが、前年同月比では減少した。粗鋼、熱間圧延鋼材は前月比、前年同月比とも増加した。

銑鉄生産は685.6万トンと前月比4.2%増、前年同月比0.9%減となり、前年同月比では3カ月振りの減少となった。

粗鋼生産は903.0万トンと前月比3.5%増、前年同月比0.3%増となり、前年同月比では3カ月連続の増加となった。1月の1日当たり粗鋼生産は29.1万トンで、12月の同28.1万トン比3.5%増となった。

炉別生産では、転炉鋼が693.2万トンと前月比4.7%増、前年同月比1.6%減、電炉鋼が209.7万トンと同0.2%減、同7.1%増となり、前年同月比では転炉鋼は9カ月連続の減少、電炉鋼は16カ月連続の増加となった。

鋼種別生産では、普通鋼が682.3万トンと前月比3.2%増、前年同月比1.7%減、特殊鋼が220.7万トンと同4.6%増、同7.0%増となり、前年同月比では普通鋼は4カ月連続の減少、特殊鋼は3カ月連続の増加となった。

熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は790.8万トンと前月比3.9%増、前年同月比0.3%増となり、前年同月比では4カ月振りの増加となった。

普通鋼熱間圧延鋼材の生産は619.7万トンと前月比4.7%増、前年同月比0.8%減となり、前年同月比では4カ月連続の減少となった。

特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は171.1万トンと前月比1.2%増、前年同月比4.1%増となり、前年同月比では2カ月振りの増加となった。

主要品種の生産内訳をみると、普通鋼では鋼帯が383.7万トンと前月比5.2%増だが、前年同月比2.0%減。冷延広幅帯鋼が160.1万トンと前月比10.5%の2桁増だが、前年同月比0.5%の微減。鋼板が82.9万トンと前月比7.8%、前年同月比4.9%のともに増。小形棒鋼が65.7万トンと前月比1.8%、前年同月比1.2%のともに減。H形鋼が33.9万トンと前月比5.9%、前年同月比6.6%のともに増となった。

特殊鋼では、熱間圧延鋼材が172.6万トンと前月比2.1%、前年同月比5.0%のともに増。冷延広幅鋼帯が25.5トンと前月比2.2%、前年同月比1.4%のともに増となった。

熱間鋼管では、普通鋼が35.1万トンと前月比3.8%減だが、前年同月比3.1%増。特殊鋼が14.1トンと前月比3.1増だが、前年同月比6.5%減となった。

めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が93.7万トンと前月比9.2%増だが、前年同月比3.7%減となった。

【1月の鉄鋼出荷】

1月の主要品種の出荷を品目別にみると、普通鋼の鋼帯が183.3万トンと前月比2.4%、前年同月比2.1%のともに減。鋼板が76.0万トンと前月比7.8%減だが、前年同月比1.1%増。小形棒鋼が65.5万トンと前月比4.1%減だが、前年同月比1.0%増。H形鋼が32.0万㌧と前月比1.3%減だが、前年同月比4.6%増。冷延広幅帯鋼が51.3万トンと前月比11.7%の2桁減で、前年同月比も6.3%減となった。

特殊鋼では熱間圧延鋼材が121.4万トンと前月比7.0%減だが、前年同月比2.8%増。冷延広幅帯鋼が22.7万トンと前月比3.7%減だが、前年同月比5.1%増となった。

熱間鋼管では普通鋼が30.3万トンと前月比5.0%減だが、前年同月比1.4%増。特殊鋼が10.7万トンと前月比0.8%の微減で、前年同月比37.3%の大幅減となった。

めっき鋼板では、亜鉛めっき鋼板が83.1万トンと前月比6.9%、前年同月比7.8%のともに減となった。

【1月の石油生産】

1月の石油製品の生産を油種別にみると、重油が282.7万㎘と前月比6.5%、前年同月比6.8%のともに減。ガソリンが453.4万㎘で前月比5.4%、前年同月比2.2%のともに減。軽油が383.5万㎘と前月比10.8%の2桁増で、前年同月比も8.2%増。灯油が197.3万㎘と前月比2.2%減で、前年同月比14.6%の2桁減。ナフサが157.7万㎘と前月比1.2%増だが、前年同月比17.5%の2桁減。ジェット燃料油が84.6万㎘と前月比13.8%、前年同月比15.5%のともに2桁減。液化石油ガスが39.0万トンと前月比6.8%、前年同月比5.6%のともに増。アスファルトが27.6万トンと前月比13.2%、前年同月比10.3%のともに2桁減。潤滑油が18.1万㎘と前月比1.3%、前年同月比9.8%のともに減となった。

【1月の石油出荷】

1月の石油製品の出荷を油種別にみると、重油が292.5万㎘と前月比8.2%、前年同月比6.9%のともに減。ガソリンが448.9万㎘と前月比11.4%の2桁減だが、前年同月比0.8%の微増。軽油が332.9万㎘と前月比14.8%の2桁減で、前年同月比も1.4%減。灯油が247.0万㎘と前月比1.0%増だが、前年同月比0.3%の微減。ナフサが384.0万㎘と前月比3.4%、前年同月比8.4%のともに減。ジェット燃料油が98.3㎘と前月比3.0%、前年同月比8.2%のともに減。液化石油ガスが48.9万トンと前月比0.9%の微増で、前年同月比2.8%増。アスファルトが15.4万トンと前月比25.7%の大幅減で、前年同月比も8.9%減。潤滑油が19.9万㎘と前月比5.0%減で、前年同月比も11.7%の2桁減となった。

【1月のコークス・石灰石】

1月のコークスの生産は278.2万トンと前月比1.8%増だが、前年同月比1.9%減。出荷は69.5万トンと前月比1.8%、前年同月比6.8%のともに減となった。

1月の石灰石の生産は1,074.9万トンと前月比13.3%の2桁減で、前年同月比も2.0%の減。出荷は867.9万トンと前月比12.4%の2桁減で、前年同月比も2.2%減を示した。

※添付資料

鉄鋼統計速報 平成30年1月 Excel

資源エネルギー統計速報 平成30年1月 Excel

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