No.732: 生産 前月比4.1%上昇 経産省 2月の鉱工業・生産出荷・在庫速報発表
No.733: 燃料油販売 5カ月振り前年比増 エネ庁 2月の石油統計速報発表
No.734: 粗鋼生産 前年比4カ月振り減 燃料油生産 前年比2カ月連続減 経産省 2月の生産動態統計速報発表

平成30年4月3日(火)Vol.732

生産 前月比4.1%上昇

経産省 2月の鉱工業・生産出荷・在庫速報発表

 

経済産業省は3月30日、2月の鉱工業生産・出荷・在庫速報を発表した。それによると、2月生産は前月比4.1%上昇で、上昇寄与が大きいのは輸送機械と汎用・生産用・業務用機械だった。経産省では、生産予測調査が3月、4月と増産計画にあり、基調判断は「生産は緩やかな持ち直し」で据え置きとしている。

2月の鉱工業生産は、季節調整済指数103.4、前月比4.1%上昇と2カ月振りの前月比上昇となった。1月は前月比マイナス6.8%低下と極端に大きな前月比低下幅を見せた。そこからの4.1%上昇なので、上昇幅としては多少物足りない面は否定できない。1月と2月の生産指数の平均値は101.4で、昨年第4四半期の104.3に比べると大分水準が低くなっている。四半期の前期比は、昨年末まで7期連続のプラスだったが、さすがに今年第1四半期のプラスは難しいと思われる。

 

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2月の鉱工業出荷は指数値100.4で、前月比2.2%と2カ月振りの前月比上昇となった。出荷も生産同様に、昨年12月の高レベルと今年1月の急落という動きとなっている。1月の出荷低下幅の前月比マイナス5.7%低下からすると、2月の上昇幅も多少物足りない面は否定できない。

また、昨年12月と今年1月の出荷指数の平均値は101.2であり、これと比較しても2月の指数値が低く、生産に比べると、出荷の回復の勢いは今ひとつという様相だ。1月と2月の平均値も99.3と、昨年第4四半期の101.4からは大分見劣りしている。

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2月の鉱工業生産では、15業種のうち11業種が前月比上昇、3業種が前月比低下、パルプ・紙・紙加工品工業が横ばいとなった。この2月の生産上昇への影響度、寄与が特に大きいのは輸送機械工業だった。1月の生産低下の主要因だったので、その反動で2月の鉱工業生産を押し上げているす。

これに次ぐのが汎用・生産用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業、電気機械工業で、この4業種に次ぐのは化学工業(医薬品除く)だが、その上昇寄与は、輸送機械工業の寄与の10分の1にも満たないものだったので、2月の鉱工業生産の牽引役は、輸送から電気までの4業種と言ってよい。

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3月上旬に実施した3月、4月の生産計画を調査した生産予測調査の結果によれば、3月の生産計画は調査結果そのままを集計すると、前月比0.9%の上昇を見込む結果になっているが、3月の生産計画は前回調査の計画から上方修正されており、比較的高めのものとなっている。3月計画値に含まれるバイアス(偏りを生じさせる要因)を補正すると、前月比0.5%程度の上昇という計算結果だ。2月に続いて増産となる3月の生産計画の水準は、調査結果そのままでも、補正計算結果でみても、昨年12月の水準からはまだ低い状態にある。

4月の生産計画は補正前の3月計画から前月比5.2%上昇する結果だったが、最終的に4月段階の計画見直しや実績段階で、下方修正されることとなっても、それなりの伸びを見込んでいることになる。4月の生産計画の水準は、昨年12月の水準をかなり上回るものとなっており、比較的高めの生産だった昨年4月の生産実績との比較でも8.3%増産の計画となり、相当強気の生産計画といえよう。

製造工業生産予測指数 (季節調整済前月比(%))

注)▲はマイナスを示す。
平成30年3月見込み 平成30年4月見込み
平成30年3月調査(今回) 0.9% 5.2%
平成30年2月調査(前回) ▲2.7%

製造工業生産予測指数の補正値 (季節調整済前月比(%))

試算値 予測調査結果
3月前月比 0.5%
(▲0.5%~1.5%)
0.9%

2月の鉱工業生産は2カ月振りの上昇だったが、上昇幅4.1%は1月の大きな低下幅からすると、若干物足りないことは否定できない。出荷も2カ月振りの前月比上昇だが、勢いは生産に比べると弱く、その結果、在庫は4カ月振りに上昇となり、在庫循環も「在庫積み上がり局面」寸前の状態になっている。

他方、先行きの生産計画では3月、4月と2カ月連続の増産計画で、特に4月の生産計画の水準は、昨年12月の水準をも上回るものとなってる。

こうした状況を踏まえ、基調判断については「生産は緩やかな持ち直し」と据え置きたい。

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平成30年4月3日(火)Vol.733

燃料油販売 5カ月振り前年比増

エネ庁 2月の石油統計速報発表

 

資源エネルギー庁は3月30日、2月の石油統計速報を発表した。概要は次の通り。

1.原油の動向

2月の原油輸入量は1,333万㎘、前年同月比84.6%と3カ月連続で前年を下回った。輸入量の多い順にみると次の通りだった。

(1)サウジアラビア(554万㎘、前年同月比86.1%)

(2)アラブ首長国連邦(309万㎘、同92.4%)

(3)クウェート(100万㎘、同77.5%)

(4)カタール(97万㎘、同82.1%)

(5)ロシア(96万㎘、同75.3%)となっている。

なお、今月の中東依存度は87.4%で、前年同月に比べ1.9ポイント増と7カ月連続で前年を上回った。

2.燃料油の生産

燃料油の生産は1,395万㎘、前年同月比93.6%と3カ月連続で前年を下回った。油種別にみると、灯油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、ジェット燃料油、軽油、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。

3.燃料油の輸入、輸出

燃料油の輸入は313万㎘、前年同月比110.3%と7カ月連続で前年を上回った。輸出は227万㎘、前年同月比92.8%と2カ月連続で前年を下回った。

4.燃料油の国内販売

燃料油の国内販売は1,579万㎘、前年同月比101.7%と5カ月振りに前年を上回った。油種別にみると、ガソリン、灯油、A重油及びB・C重油は前年同月を上回ったが、ナフサ、ジェット燃料油及び軽油は前年同月を下回った。

5.燃料油の在庫

燃料油の在庫は燃料油の在庫は805万㎘、前年同月比88.3%と3カ月連続で前年を下回った。油種別にみても、全油種(ガソリン、ナフサ、ジェット燃料油、灯油、軽油、A重油及びB・C重油)について前年同月を下回った。

※添付資料

石油需給概要 平成30年2月 Excel

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平成30年4月3日(火)Vol.734

粗鋼生産 前年比4カ月振り減

燃料油生産 前年比2カ月連続減

経産省 2月の生産動態統計速報発表

 

経済産業省は3月30日、2月の生産動態統計速報を発表した。それによると粗鋼生産量は829.5万トンと前月比8.1%減で、前年同月比も0.5%の微微減となり、前年同月比では4カ月振りの減となった。また、石油製品生産量は燃料油計が1,395.2万㎘と前月比8.1%、前年同月比6.4%のともに減となり、前年同月比では3カ月連続の減となった。

【2月の鉄鋼生産】

2月の鉄鋼生産は銑鉄、粗鋼、熱間圧延鋼材のいずれも前月比、前年同月比とも減少した。

銑鉄生産は618.0万トンと前月比9.9%減、前年同月比0.7%減となり、前年同月比では2カ月連続の減少となったが、粗鋼生産は829.6万トンと前月比8.1%減、前年同月比0.5%減となり、前年同月比では4カ月振りの減少となった。2月の1日当たり粗鋼生産では29.6万トンで、1月の同29.1万トン比1.8%増だった。

炉別生産では、転炉鋼が624.6万トンと前月比9.9%減、前年同月比1.2%減、電炉鋼が205.0万トンと同2.1%減、同1.5%増となり、前年同月比では転炉鋼は10カ月連続の減少、電炉鋼は17カ月連続の増加となった。

鋼種別生産では、普通鋼が625.0万トンと前月比8.3%減、前年同月比2.1%減、特殊鋼が204.6万トンと同7.4%減、同4.8%増となり、前年同月比では普通鋼は5カ月連続の減少、特殊鋼は4カ月連続の増加となった。

熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は738.2万トンと前月比6.8%減、前年同月比1.5%減となり、前年同月比では2カ月振りの減少となった。

普通鋼熱間圧延鋼材の生産は568.1万トンと前月比8.4%減、前年同月比3.7%減となり、前年同月比では5カ月連続の減少となった。

特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は170.0万トンと前月比1.3%減、前年同月比6.6%増となり、前年同月比では2カ月連続の増加となった。

主要品種の生産内訳をみると、普通鋼では鋼帯が339.9万トンと前月比11.4%の2桁減で、前年同月比も5.9%減。冷延広幅帯鋼が141.8万トンと前月比11.5%の2桁減で、前年同月比も4.4%減。鋼板が81.2万トンと前月比2.0%減だが、前年同月比8.5%増。小形棒鋼が65.7万トンと前月比0.0%の横這いで、前年同月比3.8%減。H形鋼が32.8万トンと前月比3.4%減で、前年同月比0.1%の微減となった。

特殊鋼では、熱間圧延鋼材が169.2万トンと前月比1.8%減だが、前年同月比6.1%増。冷延広幅鋼帯が24.3トンと前月比4.6%減だが、前年同月比2.1%増となった。

熱間鋼管では、普通鋼が35.5万トンと前月比1.4%増だが、前年同月比0.5%の微減。特殊鋼が162.2トンと前月比15.2%、前年同月比15.0%のともに2桁増となった。

めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が83.9万トンと前月比10.5%の2桁減で、前年同月比も5.6%減となった。

【2月の鉄鋼出荷】

2月の主要品種の出荷を品目別にみると、普通鋼の鋼帯が170.9万トンと前月比6.8%、前年同月比5.7%のともに減。鋼板が77.0万トンと前月比1.3%、前年同月比5.6%のともに増。小形棒鋼が66.5万トンと前月比1.5%増で、前年同月比0.9%の微増。H形鋼が32.6万㌧と前月比2.1%、前年同月比4.7%のともに増。冷延広幅帯鋼が50.7万トンと前月比1.3%、前年同月比8.4%のともに減となった。

特殊鋼では熱間圧延鋼材が127.0万トンと前月比5.4%、前年同月比7.6%のともに増。冷延広幅帯鋼が23.4万トンと前月比3.2%、前年同月比1.0%のともに増となった。

熱間鋼管では普通鋼が30.9万トンと前月比2.0%、前年同月比1.5%増のともに。特殊鋼が14.2万トンと前月比33.3%、前年同月比48.6%のともに大幅減となった。

めっき鋼板では、亜鉛めっき鋼板が87.4万トンと前月比5.1%増だが、前年同月比1.7%減となった。

【2月の石油生産】

2月の石油製品の生産を油種別にみると、重油が268.1万㎘と前月比5.2%、前年同月比1.4%のともに減。ガソリンが411.6万㎘で前月比9.2%、前年同月比3.4%のともに減。軽油が303.4万㎘と前月比11.5%、前年同月比10.2%のともに2桁減。灯油が190.1万㎘と前月比3.6%減だが、前年同月比2.6%増。ナフサが137.2万㎘と前月比13.0%、前年同月比18.3%のともに2桁減。ジェット燃料油が84.7万㎘と前月比0.2%の微増だが、前年同月比16.2%の2桁減。液化石油ガスが31.5万トンと前月比19.3%、前年同月比10.0%のともに2桁減。アスファルトが24.0万トンと前月比12.9%、前年同月比15.2%のともに2桁減。潤滑油が19.9万㎘と前月比9.7%、前年同月比8.3%のともに増となった。

【2月の石油出荷】

2月の石油製品の出荷をみると、燃料油計で1,728.3万㎘と前月比4.2%、前年同月比1.2%のともに減となった。油種別では重油が289.3万㎘と前月比1.1%減だが、前年同月比3.1%増。ガソリンが413.9万㎘と前月比7.8%、前年同月比3.2%のともに減。軽油が336.2万㎘と前月比1.0%増で、前年同月比0.7%の微増。灯油が240.9万㎘と前月比2.5%減だが、前年同月比8.3%増。ナフサが346.9万㎘と前月比9.7%、前年同月比6.5%のともに減。ジェット燃料油が101.0㎘と前月比2.8%増だが、前年同月比11.7%の2桁減。液化石油ガスが45.7万トンと前月比6.5%減で、前年同月比0.3%の微減。アスファルトが17.5万トンと前月比13.6%の2桁増だが、前年同月比10.8%の2桁減。潤滑油が21.2万㎘と前月比6.7%、前年同月比も9.5%のともに増となった。

【2月のコークス・石灰石】

2月のコークスの生産は249.0万トンと前月比10.5%の2桁減で、前年同月比1.9%減。出荷は68.2万トンと前月比1.8%減だが、前年同月比8.2%増となった。

2月の石灰石の生産は1,098.4万トンと前月比2.2%増だが、前年同月比2.8%減。出荷は884.3万トンと前月比1.2%増だが、前年同月比も3.1%減を示した。

※添付資料

鉄鋼統計速報 平成30年2月 Excel

資源エネルギー統計速報 平成30年2月 Excel

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