No.770:生産2カ月連続前月比増 経産省 5月の鉱工業生産・出荷・在庫速報発表
No.771:鋼材生産 9カ月連続前年比減 燃料油生産 再び前年比減 経産省 5月の生産動態統計速報発表
No.772:販売 再び前月比減少に 経産省 5月の石油統計速報発表

令和1年7月10日(水)Vol.770

生産2カ月連続前月比増

経産省 5月の鉱工業生産・出荷・在庫速報発表

「5月の鉱工業生産は前月比2カ月連続の上昇」。経済産業省は6月28日、5月の鉱工業生産・出荷・在庫速報を発表した。5月の生産は、13業種が前月比上昇したことに支えられたものだが、製造工業生産予測調査によると6月は低下に転じ、7月は上昇するとされており、同省では「総じてみれば、生産は一進一退」としている。

5月の鉱工業生産は季節調整済指数105.2で前月比2.3%と、2カ月連続の上昇となった。本年第1四半期の指数値は102.4と、一昨年第1四半期以来の水準まで低下していたところだが、本年第2四半期に入り、4月の上昇に引き続き5月も大幅に上昇し、5月の指数値は1月に生産が大きく低下する前の昨年第4四半期の指数値105.0をも上回る結果となった。

4月速報の時点では、企業の生産計画の例年の上方バイアスを考慮すると、5月は前月比1.5%程度の上昇を見込んでいたが、5月実績ではこれを超える上昇幅となった。

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5月生産は13業種が前月比上昇

5月の鉱工業生産を業種別にみると前月比で13業種が上昇、低下は2業種だけとなり、ほとんどの業種で上昇となっている。

上昇寄与業種としては自動車工業、電気・情報通信機械工業、生産用機械工業等が挙げられるが、低下寄与業種は輸送機械工業(自動車工業を除く)、その他工業の2業種だった。

上昇した業種では自動車工業で普通乗用車、駆動伝導・操縦装置部品等、電気・情報通信機械工業でデスクトップ型パソコン、開閉制御装置等、生産用機械工業で半導体製造装置、フラットパネル・ディスプレイ製造装置等があげられる。

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出荷も前月比上昇

5月の鉱工業出荷は指数値104.3で前月比1.6%と、2カ月連続の上昇になった。出荷は4月も前月比1.8%と大きめの上昇をみせていたが、5月も大きめの上昇が続く動きとなった。

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5月出荷を業種別にみれば7業種が前月比上昇、8業種が前月比低下となったが、上昇業種の多くは4月に引き続いての上昇だった。出荷の上昇寄与業種としては自動車工業、電気・情報通信機械工業、生産用機械工業等が挙げられるが、低下寄与業種としては無機・有機化学工業、輸送機械工業(自動車工業除く)、化学工業(無機・有機化学工業・医薬品除く)等が挙げられる。

上昇した業種では自動車工業で生産と同様、普通乗用車、駆動伝導・操縦装置部品等、電気・情報通信機械工業でリチウムイオン蓄電池、デスクトップ型パソコン等、生産用機械工業でショベル系掘削機械、フラットパネル・ディスプレイ製造装置等があげられる。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財の出荷は前月比1.7%上昇し、最終需要財の出荷は前月比1.0%上昇だった。

5月は生産財の中でも、鉱工業用生産財の出荷が前月比2.2%と大きく上昇し、鉱工業出荷の上昇に寄与した。

また、最終需要財では、投資財のうち建設財が前月比0.5%低下したものの、資本財(輸送機械除く)は前月比5.0%と大きく上昇した。前月に大きく上昇した消費財については、耐久消費財が前月比3.3%と引き続き上昇したが、非耐久消費財は前月比マイナス2.7%と低下している。

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在庫も上昇

5月の鉱工業在庫は指数値104.4で前月比0.6%の上昇となった。5月は生産・出荷とも上昇したが、生産がより大きく上昇したことに伴い、在庫指数も上昇した。

5月の在庫の上昇を財別にみると、非耐久消費財が上昇要因となった。在庫の上昇は、今後の需要や工場の定修・メンテナンスに備えた前向きな積み増しによるものもあるが、この在庫増が今後の生産の押し下げ要因にならないかどうかについて、経産省では「注視したい」としている。

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基調判断、「生産一進一退」で据え置き

5月の鉱工業生産は2カ月連続の前月比上昇だったが、5月上旬の企業の生産計画の集計結果から上方バイアスを補正すると、前月比1.5%程度の上昇が想定されたものの、実際には前月比で2.3%と想定を上回る上昇となった。その背景としては、5月はゴールデンウィークが10連休となった影響を受けて、企業の生産活動が例年とは異なっていたこととともに、需要も堅調であったことから、企業の生産計画からの下振れが例年ほどでなかったことが考えられる。

4月、5月と連続で生産が上昇したことにより、4〜5月の生産指数平均値が104.0となり、鉱工業生産が大幅に上昇することとなり、第1四半期の102.4と比べるとかなり上昇している。6月の生産が低下したとしても、第2四半期の指数値は第1四半期と比べると、上昇の見込みが高いと考えらる。

ただ、先行きに関しては6月の生産計画が前月比低下と見込まれ、7月の生産計画が上昇とはいえ小幅にとどまっている。5月は生産が大幅に上昇したものの、一時的な上昇とも考えられ、生産が上昇基調に入ったとまでは言い難い面もある。

このため経産省では、5月の生産の基調判断について、「引き続き生産は一進一退にあるものと考え、据え置きとしたい」としている。

6月の製造工業生産予測指数調査

生産は6月低下、7月上昇予測

経産省が主要企業の生産計画を調査した製造工業生産予測調査によると、6月は前月比1.2%の低下、7月は同0.3%の上昇見込みとなっている。

6月の低下業種は輸送機械工業、電気・情報通信機械工業、汎用・業務用機械工業等で、7月の上昇業種は輸送機械工業、パルプ・紙・紙加工品工業、電気・情報通信機械工業等となっている。

製造工業生産予測調査(生産計画から見る生産動向)

(季節調整済前月比%)

2019年6月見込み 2019年7月見込み
2019年6月調査(今回) -1.2 0.3
2019年5月調査(前回) -4.2

予測指数の補正数値試算

製造工業生産予測指数の先行きを試算した補正値は、6月は-1.7%の低下見込み。

なお、5月の補正値は1.5%であったが、鉱工業指数の5月の前月比は2.3%であった。

試算値 予測調査結果
6月前月比 -1.7(-2.7~-0.7) -1.2

※上段の数値が、最も可能性の高い値(最頻値)。最頻値とならない場合でも、( )の幅の中に90%の確率で収まるという計算結果になっている。

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令和1年7月10日(水)Vol.771

鋼材生産 9カ月連続前年比減

燃料油生産 再び前年比減

経産省 5月の生産動態統計速報発表

経済産業省は6月28日、5月の生産動態統計速報を発表した。粗鋼生産量は867.0万トンと前月比0.3%増だが、前年同月比4.7減で、これで9カ月連続の前年同月比減となり、鉄鋼の低迷が停まらない。

また、石油製品生産量は燃料油計が1,306.0万㎘と前月比1.8%減だが、前年同月比0.6%の微増となり、前年同月比で前月の減少から上昇に転じた。

【5月の鉄鋼生産】

5月の銑鉄生産は654.0万トンと前月比1.4%増だが、前年同月比3.9%減となり、前年同月比では2カ月振りの減少となった。

粗鋼生産は867.6万トンと前月比0.3%増だが、前年同月比4.6%減となり、前年同月比では9カ月連続の減少となった。5月の1日当たり粗鋼生産は28.0万トンで、4月の同28.8万トンと比べ2.9%減となった。

炉別生産では、転炉鋼が658.7万トンと前月比1.5%増だが、前年同月比4.4%減。電炉鋼が208.8万トンと前月比3.2%、前年同月比5.3%のともに減となり、前年同月比で転炉鋼が3カ月振りの減少、電炉鋼が3カ月連続の減少となった。

鋼種別生産では、普通鋼が661.0万トンと前月比0.2%増だが、前年同月比2.4%減。特殊鋼が206.5万トンと前月比0.6%増だが、前年同月比11.1%減となり、前年同月比で普通鋼が3カ月振りの減少、特殊鋼が6カ月連続の減少となった。

熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は738.9万トンと前月比1.8%、前年同月比6.2%のともに減となり、前年同月比では11カ月連続の減少となった。

普通鋼熱間圧延鋼材の生産は574.3万トンと前月比2.7%、前年同月比5.5%のともに減となり、前年同月比では6カ月連続の減少となった。

特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は164.7万トンと前月比1.7%増だが、前年同月比8.7%減となり、前年同月比では5カ月連続の減少となった。

主要品種の生産内訳をみると普通鋼では、鋼帯が343.6万トンと前月比横這いで、前年同月比5.8%減。冷延広幅帯鋼が146.4万トンと前月比4.9%増だが、前年同月比7.6%減。鋼板が84.8万トンと前月比6.0%減だが、前年同月比1.8%増。小形棒鋼が68.1万トンと前月比5.3%、前年同月比4.2%のともに減。H形鋼が31.0万トンと前月比8.6%減で、前年同月比14.9%の2桁現。冷延電気鋼帯が10.3万トンと前月比6.4%、前年同月比5.8%のともに減。線材が12.9万トンと前月比11.6%、前年同月比14.1%のともに2桁減となった。

特殊鋼では、熱間圧延鋼材が164.6万トンと前月比1.6%増だが、前年同月比8.8%減。冷延広幅鋼帯が25.2万トンと前月比6.6%増だが、前年同月比6.9%減。特殊鋼磨棒鋼・線類が17.1万トンで前月比6.7%、前年同月比1.7%のともに減となった。

鋼管では、普通鋼熱間鋼管が32.9万トンと前月比5.0%、前年同月比7.6%のともに減。特殊鋼熱間鋼管が13.2トンと前月比1.2%減で、前年同月比15.2%の2桁減となった。

めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が86.2万トンと前月比4.3%増だが、前年同月比8.0%減となった。

【5月の鉄鋼出荷】

5月の主要品種の出荷を品目別にみると、普通鋼の鋼帯が176.9万トンと前月比11.5%の2桁増で、前年同月比も4.0%増。冷延広幅帯鋼が54.7万トンと前月比16.0%の2桁増だが、前年同月比2.3%減。鋼板が82.6万トンと前月比2.2%、前年同月比3.3%のともに減。小形棒鋼が68.4万トンと前月比2.8%、前年同月比6.0%のともに減。H形鋼が31.1万トンと前月比5.5%減で、前年同月比12.3%の2桁減。線材が12.6万トンと前月比9.4%減で、前年同月比12.1%の2桁減となった。

特殊鋼では、熱間圧延鋼材が117.3万トンと前月比3.1%増だが、前年同月比3.8%減。冷延広幅帯鋼が21.3万トンと前月比1.6%増だが、前年同月比8.5%の減。特殊鋼磨棒鋼・線類が16.0万トンと前月比7.2%、前年同月比2.6%のともに減となった。

鋼管では、普通鋼熱間鋼管が28.0万トンと前月比2.3%減で、前年同月比10.1%の2桁減。特殊鋼が10.2万トンと前月比5.0%減で、前年同月比22.4%の大幅減となった。

めっき鋼板では、亜鉛めっき鋼板が81.3万トンと前月比1.4%増だが、前年同月比7.1%減となった。

【5月の石油生産】

5月の石油製品の生産を油種別みると、重油が184.6万㎘と前月比10.3%、前年同月比16.8%のともに2桁減。ガソリンが397.6万㎘と前月比8.4%、前年同月比4.2%のともに減。軽油が354.6万㎘と前月比2.5%増で、前年同月比12.6%の2桁増。灯油が79.4万㎘と前月比8.3%減だが、前年同月比10.2%の2桁増。ナフサが142.3万㎘と前月比2.2%減だが、前年同月比20.8%の大幅増。ジェット燃料油が145.3万㎘と前月比2.6%減だが、前年同月比3.6%増。液化石油ガスが32.3万トンと前月比4.5%、前年同月比8.7%のともに減。アスファルトが21.6万トンと前月比10.1%の2桁減で、前年同月比も7.3%減。潤滑油が17.3万㎘と前月比17.3%、前年同月比19.5%のともに2桁減となった。

【5月の石油出荷】

5月の石油製品の出荷をみると、燃料油計で1,497.9万㎘と前月比2.2%、前年同月比3.8%のともに減となった。

油種別では、重油が180.5万㎘と前月比12.7%の2桁減で、前年同月比も20.9%の大幅減。ガソリンが410.3万㎘と前月比0.5%の微増だが、前年同月比6.0%減。軽油が361.5万㎘と前月比3.4%、前年同月7.4%のともに増。灯油が67.2万㎘と前月比33.1%の大幅減で、前年同月比も3.6%減。ナフサが320.8万㎘と前月比2.4%、前年同月比4.4%のともに減。ジェット燃料油が157.7万㎘と前月比13.8%の2桁増で、前年同月比も5.1%増。液化石油ガスが44.0万トンと前月比2.6%、前年同月比1.1%のともに減。アスファルトが14.0万トンと前月比3.2%減で、前年同月比14.7%の2桁減。潤滑油が20.5万㎘と前月比5.8%、前年同月比7.8%のともに減となった。

【5月のコークス・石灰石】

5月のコークスの生産は、280.7万トンと前月比1.5%増で、前年同月比横這い。出荷は75.5万トンと前月比14.1%、前年同月比14.7%のともに2桁減となった。

5月の石灰石の生産は1,131.0万トンと前月比1.0%増だが、前年同月比3.8%減。出荷は900.7万トンと前月比3.7%、前年同月比3.5%のともに減となった。

※添付資料

鉄鋼統計速報 2019年5月 Excel

資源エネルギー統計速報 2019年5月 Excel

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令和1年7月10日(水)Vol.772

販売 再び前月比減少に

経産省 5月の石油統計速報発表

資源エネルギー庁は6月28日、5月の石油統計速報を発表した。概要は次の通り。

1.原油の動向

5月の原油輸入量は1,500万㎘、前年同月比102.1%と3カ月振りに前年を上回った。輸入量の多い順にみると、

(1)アラブ首長国連邦(506万㎘、前年同月比166.1%)

(2)サウジアラビア(486万㎘、同86.8%)

(3)カタール(124万㎘、同91.8%)

(4)クウェート(123万㎘、同122.7%)

(5)ロシア(69万㎘、同122.2%)となっている。

なお、今月の中東依存度は87.2%、前年同月に比べ2.7ポイント減と3カ月連続で前年を下回った。

2.燃料油の生産

燃料油の生産は1,306万㎘、前年同月比100.6%と3カ月振りに前年を上回った。油種別にみると、ナフサ、ジェット燃料油、灯油及び軽油は前年同月を上回ったが、ガソリン、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。

3.燃料油の輸入、輸出

燃料油の輸入は247万㎘、前年同月比82.5%と前年を下回った。輸出は271万㎘、前年同月比103.6%と前年を上回った。

4.燃料油の国内販売

燃料油の国内販売は1,215万㎘、前年同月比94.8%と前月の前年比増加から再び減少に転じた。油種別にみると、ジェット燃料油及び軽油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、灯油、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。

5.燃料油の在庫

燃料油の在庫は905万㎘、前年同月比97.2%と3カ月連続で前年を下回った。油種別にみると、ナフサ及びA重油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ジェット燃料油、灯油、軽油及びB・C重油は前年同月を下回った。

※添付資料

石油需給概要 2019年5月 Excel