No.785: 生産 2カ月連続の前月比低下 経産省 鉱工業生産・出荷・在庫速報発表
No.786: 生産 12月・1月は上昇予測 経産省 製造工業生産予測指数
No.787: 国内 2カ月連続販売前年比減 エネ庁 11月の石油統計速報発表
No.788: 粗鋼生産 5カ月連続前年比減 燃料油生産 再び前年比減に 経産省 11月の生産動態統計速報発表

令和2年1月8日(水)Vol.785

生産 2カ月連続の前月比低下

経産省 鉱工業生産・出荷・在庫速報発表

経済産業省は12月27日、11月の鉱工業生産・出荷・在庫速報を発表した。11月の鉱工業生産は、前月比0.9%の低下で、前月に大幅な落ち込みをみせた自動車工業が上昇したものの、生産用機械工業等の低下により、12業種が前月比低下し、2カ月連続の落ち込みとなった。出荷も1.7%低下で、在庫も1.1%低下だが、在庫率は上昇が続いている。経産省ではこの結果、11月の基調判断を「生産は弱含み」を据え置いた。

生産0.9%低下

11月の鉱工業生産は季節調整済指数97.7、前月比0.9%低下で2カ月連続の前月比低下となった。10月は前月比-4.5%と大幅な低下となったが、11月も引き続き低下となった。生産水準をみても、11月の生産は、2013年4月の指数値97.7と同水準となり、大幅に低下している。

ただ、低下したとはいえ、先月時点での企業の生産計画の上方バイアスを補正した試算値(最頻値で前月比1.8%低下)と比べると、低下幅は縮小した。

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12業種が前月比低下

11月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち12業種が前月比低下、3業種が前月比上昇という結果だった。

11月は、10月に生産が大幅に低下した自動車工業を始め、輸送機械工業(自動車工業を除く)、電子部品・デバイス工業では上昇となったものの、多くの業種で10月に続き低下した形となった。

11月は特に生産用機械工業の低下寄与が大きくなっていたが、次いで電気・情報通信機械工業、その他工業等が低下寄与業種として挙げられる。

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低下寄与の最も大きかった生産用機械工業は、前月比8.9%の低下で、2カ月連続の低下となった。10月の台風の被災により生産が低下した影響が続いている品目もあり、低下寄与が大きくなった。ショベル系掘削機械、半導体製造装置等が低下要因となっている。

低下寄与2位の電気・情報通信機械工業の前月比は2.9%の低下で、2カ月連続の低下となっており、リチウムイオン蓄電池、非標準変圧器等が低下要因となっている。

低下寄与3位のその他工業の前月比は2.0%の低下で、2カ月連続の低下だったが、平版印刷(オフセット印刷)、工業用ゴム製品等が低下要因となっています。

出荷 前月比1.7%低下

11月の鉱工業出荷は指数値96.4、前月比1.7%低下で2カ月連続の前月比低下となった。水準としては、基準内での最低水準となっている。11月の出荷の低下幅は、生産の低下幅より大きなものとなったが、これは単月での出荷の振れ幅が大きい輸送機械工業(自動車工業を除く)の低下寄与が大きかったことが影響している。同業種の影響を除けば、11月の出荷の低下幅は生産の低下幅ほどではなかったと考えられる。

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業種別にみると、全体15業種のうち10業種が前月比低下、5業種が前月比上昇だったが、特に輸送機械工業(自動車工業を除く)の低下寄与が大きく、次いで生産用機械工業、電気・情報通信機械工業等が低下寄与業種となっている。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、最終需要財の出荷は前月比2.7%の低下、生産財の出荷は前月比0.5%の低下だった。

最終需要財の内訳の中で、11月の出荷低下に対する寄与、影響度が最も大きかったのは資本財(輸送機械を除く)で、前月比6.1%の大幅低下となった。10月も前月比11.9%の大幅低下だったので、2カ月連続での大幅な低下となった。製造工業生産予測調査の結果では、資本財(輸送機械を除く)の生産計画は先行き上昇となっているが、経産省では今後実際に出荷が回復して行くか、注視して行きたいとしている。

また、建設財は前月比3.1%の低下となり、2カ月連続での低下となったが、消費財は耐久消費財の出荷が前月比2.7%の上昇で、3カ月振りの上昇となった。耐久消費財の出荷は9月、10月と連続で低下していたが、11月はそこから反発した。非耐久消費財の出荷は前月比1.2%の上昇となり、2カ月振りの上昇となった。非耐久消費財の出荷は、10月に低下したものの、11月に反発した。この結果、消費財全体では出荷が前月比0.6%の上昇で、2カ月振りの上昇となった。

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在庫再び低下も在庫率上昇

11月の鉱工業在庫は指数値103.1、前月比1.1%低下で2カ月振りの低下となった。業種別にみると15業種中8業種が低下、7業種が上昇だった。低下寄与が大きかった業種としては自動車工業、石油・石炭製品工業、電気・情報通信機械工業が挙げられる。

鉱工業在庫は2019年前半まで上昇が続き、高い水準となっていたが、7月以降は、徐々に低下がみられる。10月は4カ月振りに上昇したものの、11月は再び低下した。経産省では今後も在庫調整が進んで行くことを期待している。

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ただ、11月は在庫が低下したものの、出荷も低下したことから、在庫率は前月比1.8%の上昇となった。在庫率はいまだ上昇傾向が続いており、経産省では在庫の動向を引き続き注視していきたいとしている。

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基調判断 「生産は弱含み」で据置

11月の鉱工業生産は、2カ月連続の前月比低下だった。先月時点での企業の生産計画からの試算結果(最頻値で1.8%低下)と比べると、11月の低下幅は縮小したとはいえ、10月の大幅な低下に続いての低下となった。生産水準も大幅に低下しており、足元では生産に弱さが感じられる状況が続いている。

一方、先行きは企業の生産計画で12月、1月ともに上昇となっている。企業の生産計画値に上方バイアスが含まれていることを考慮しても、12月の鉱工業生産は、低下より上昇の見込みの方がやや高いと考えられる。また、1月は現時点で確たることが決め難いものの、上昇の見込みが高いと考えられている。

このように先行きには上昇に転ずる兆しもみられるものの、鉱工業生産の足元の動きは10月、11月と低下が続き、生産水準も大きく低下している。こうした状況を踏まえ、経産省では鉱工業生産の11月の基調判断として、「生産は弱含み」と据え置きつつも、今後は実際に生産が回復して行くのか、先行きを注視したいとしている。

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令和2年1月8日(水)Vol.786

生産 12月・1月は上昇予測

経産省 製造工業生産予測指数

経済産業省は12月27日、製造工業生産予測指数の12月調査結果を発表した。それによると、12月は前月比2.8%の上昇、1月は同2.5%の上昇見込みとなった。

12月の上昇業種は生産用機械工業、化学工業、電子部品・デバイス工業等。

1月の上昇業種は輸送機械工業、生産用機械工業、その他等だった。

製造工業生産予測指数/生産計画から見る生産動向(季節調整済前月比%)

2019年12月見込み 2019年1月見込み
2019年12月調査(今回) 2.8 2.5
2019年11月調査(前回) 1.1

製造工業生産予測指数の先行きを試算した補正値は、12月が0.4%の上昇見込み。なお、11月の補正値は1.8%低下だったが、鉱工業生産指数の11月の前月比は0.9%低下だった。

製造工業生産予測指数の補正値(季節調整済前月比%)

補正値 予測調査結果
12月前月比 0.4(-0.6~1.4) 2.8

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令和2年1月8日(水)Vol.787

国内 2カ月連続販売前年比減

エネ庁 11月の石油統計速報発表

資源エネルギー庁は12月27日、11月の石油統計速報を発表した。概要は次の通り。

原油の動向

11月の原油輸入量は1,403万㎘、前年同月比94.3%と4カ月連続で前年を下回った。輸入量の多い順にみると次のようになっている。

⑴サウジアラビア(535万㎘、前年同月比97.3%)

⑵アラブ首長国連邦(431万㎘、同102.2%)

⑶クウェート(125万㎘、同91.5%)

⑷カタール(97万㎘、同75.6%)

⑸ロシア(81万㎘、同100.2%)

なお、11月の中東依存度は89.1%、前年同月に比べ3.4ポイント増と3カ月連続で前年を上回った。

燃料油の生産

燃料油の生産は1,393万㎘、前年同月比98.4%と前年を下回った。油種別にみると、ガソリン及びジェット燃料油は前年同月を上回ったが、ナフサ、灯油、軽油、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。

燃料油の輸入・輸出

燃料油の輸入は279万㎘、前年同月比79.6%と5カ月連続で前年を下回った。輸出は271万㎘、前年同月比105.6%と7カ月連続で前年を上回った。

燃料油の国内販売

燃料油の国内販売は1,391万㎘、前年同月比98.0%と2カ月連続で前年を下回った。油種別にみると、ジェット燃料油、灯油及びB・C重油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、軽油及びA重油は前年同月を下回った。

燃料油の在庫

燃料油の在庫は1,039万㎘、前年同月比93.7%と前年を下回った。油種別にみると、ジェット燃料油及びB・C重油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油及びA重油は前年同月を下回った。

※添付資料

石油需給概要  2019年11月 Excel

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令和2年1月8日(水)Vol.788

粗鋼生産 5カ月連続前年比減

燃料油生産 再び前年比減に

経産省 11月の生産動態統計速報発表

経済産業省は12月27日、11月の生産動態統計速報を発表した。粗鋼生産量は772.1万トンと前月比5.3%減で、前年同月比10.8%の2桁減となり、前年同月比で5カ月連続減少となった。

また、石油製品生産量は燃料油計が1,393.3万㎘と前月比7.8%増だが、前年同月比1.6%減となり、前年同月比で再び減に転じた。

【11月の鉄鋼生産】

銑鉄生産は580.7万トンと前月比4.7%減、前年同月比8.1%減となり、前年同月比では4カ月連続の減少となった。1~11月計では6,889.4万トンと前年同期比3.2%減少となった。

粗鋼生産は772.1万トンと前月比5.3%減、前年同月比10.8%減となり、前年同月比では5カ月連続の減少となった。11月の1日当たり粗鋼生産は25.8万トンで、10月の同26.3万トン比1.8%減となった。1~11月計では9,152.7万トンで、前年同期比4.5%減となった。

炉別生産では転炉鋼が571.9万トンと前月比6.3%減、前年同月比10.9%減、電炉鋼が202.4万トンと前月比1.1%減、前年同月比9.7%減となり、前年同月比では転炉鋼は4カ月連続の減少、電炉鋼は9カ月連続の減少となった。

鋼種別生産では、普通鋼が591.7万トンと前月比5.7%減、前年同月比9.2%減、特殊鋼が182.6万トンと前月比2.6%減、前年同月比14.8%減となり、前年同月比では普通鋼は5カ月連続の減少、特殊鋼は12カ月連続の減少となった。

熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は694.8万トンと前月比4.7%減、前年同月比9.0%減となり、前年同月比では17カ月連続の減少となった。1~11月計では8,093.8万トンで前年同期比4.6%減となった。

普通鋼熱間圧延鋼材の生産は539.9万トンと前月比6.0%減、前年同月比8.8%減となり、前年同月比では4カ月連続の減少となった。1~11月計では6,321.3万トンで前年同期比3.9%減となった。

特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は154.9万トンと前月比0.1%増、前年同月比9.7%減となり、前年同月比では11カ月連続の減少となった。 1~11月計では1,772.4万トンで前年同期比7.1%減となった。

主要品種の生産内訳をみると普通鋼では、鋼帯が318.7万トンと前月比7.5%、前年同月比7.4%のともに減。冷延広幅帯鋼が135.7万トンと前月比1.2%、前年同月比9.0%のともに減。鋼板が80.9万トンと前月比5.4%、前年同月比8.0%のともに減。小形棒鋼が71.9万トンと前月比5.6%増だが、前年同月比7.1%減。H形鋼が29.8万トンと前月比7.9%増だが、前年同月比11.2%の2桁減。冷延電気鋼帯が9.4万トンと前月比4.1%減で、前年同月比15.6%の2桁減。線材が11.2万トンと前月比4.9%増だが、前年同月比16.8%の2桁減となった。

特殊鋼では、熱間圧延鋼材が155.0万トンと前月比0.1%の微増だが、前年同月比9.7%減。冷延広幅鋼帯が24.1万トンと前月比3.8%増だが、前年同月比8.1%減。特殊鋼磨棒鋼・線類が16.9トンと前月比3.5%減で、前年同月比13.3%の2桁減となった。

鋼管では、普通鋼熱間鋼管が31.7万トンと前月比6.1%減で、前年同月比20.8%の大幅減。特殊鋼熱間鋼管が15.1トンと前月比21.0%の大幅増だが、前年同月比3.2%減となった。

めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が80.7万トンと前月比2.1%増だが、前年同月比8.6%減となった。

【11月の鉄鋼出荷】

11月の主要品種の出荷を品目別にみると、普通鋼では鋼帯が158.1万トンと前月比3.6%、前年同月比8.0%のともに減。冷延広幅帯鋼が51.7万トンと前月比6.0%増だが、前年同月比11.7%の2桁減。鋼板が82.5万トンと前月比0.4%の微増だが、前年同月比6.4%減。小形棒鋼が66.7万トンと前月比4.6%減で、前年同月比11.4%の2桁減。H形鋼が30.2万トンと前月比3.8%増だが、前年同月比12.0%の2桁減。線材が11.0万トンと前月比1.8%減で、前年同月比21.7%の大幅減となった。

特殊鋼では、熱間圧延鋼材が107.3万トンと前月比1.1%減で、前年同月比16.8%の2桁減。冷延広幅帯鋼が22.6万トンと前月比4.1%増だが、前年同月比111.2%の2桁減。特殊鋼磨棒鋼・線類が15.9万トンと前月比3.5%減で、前年同月比13.4%の2桁減となった。

鋼管では、普通鋼熱間鋼管が27.8万トンと前月比5.1%減で、前年同月比20.5%の大幅減。特殊鋼熱間鋼管が13.9万トンと前月比21.4%の大幅増で、前年同月比14.2%の2桁増となった。

めっき鋼板では、亜鉛めっき鋼板が82.8万トンと前月比2.9%増だが、前年同月比14.0%の2桁減となった。

【11月の石油生産】

11月の石油製品の生産を油種別みると重油が241.3万㎘と前月比4.5%増だが、前年同月比7.1%減。ガソリンが417.3万㎘と前月比6.5%増で、前年同月比0.7%の微減。軽油が335.6万㎘と前月比3.6%増だが、前年同月比1.5%減。需要期に入った灯油が131.5万㎘と前月比42.1%の大幅増だが、前年同月比1.9%減。ナフサが146.3万㎘と前月比10.0%の2桁増だが、前年同月比0.9%の微減。ジェット燃料油が121.2万㎘と前月比0.8%の微増で、前年同月比1.2%増。液化石油ガスが25.9万トンと前月比0.3%の微減で、前年同月比19.0%の2桁減。アスファルトが20.4万トンと前月比15.1%、前年同月比11.6%のともに2桁減。潤滑油が20.8㎘と前月比5.8%、前年同月比2.9%のともに増となった。

【11月の石油出荷】

11月の石油製品の出荷をみると、燃料油計で1,632.3万㎘と前月比6.2%増だが、前年同月比0.6%の微減となった。

油種別では、重油が242.8万㎘と前月比4.2%増だが、前年同月比8.4%減。ガソリンが434.3万㎘と前月比5.2%、前年同月比3.6%のともに増。軽油が344.1万㎘と前月比1.1%、前年同月5.5%のともに増。灯油が149.4万㎘と前月比56.2%の大幅増で、前年同月比5.4%増。ナフサが340.2万㎘と前月比2.8%増だが、前年同月比11.4%の2桁減。ジェット燃料油が121.4万㎘と前月比2.0%減だが、前年同月比13.9%の2桁増。液化石油ガスが40.6万トンと前月比1.9%増だが、前年同月比4.0%減。アスファルトが18.7万トンと前月比15.8%の2桁増で、前年同月比6.5%の2桁減。潤滑油が23.3万㎘と前月比18.0%、前年同月比18.5%のともに2桁増となった。

【11月のコークス・石灰石】

11月のコークスの生産は、268.1万トンと前月比1.4%増だが、前年同月比1.4%減。出荷は81.0万トンと前月比5.7%、前年同月比7.8%のともに減となった。

11月の石灰石の生産は、1,192.5万トンと前月比1.5%増だが、前年同月比5.2%減。出荷は980.6万トンと前月比2.3%増だが、前年同月比3.5%減となった。

※添付資料

鉄鋼統計速報 2019年11月 Excel

資源エネルギー統計速報 2019年11月 Excel