No.839:生産 3カ月振り上昇 経産省 2月の鉱工業生産・出荷・在庫指数速報発表
No.841:粗鋼 前年比2カ月連続減 燃料油 前月比10カ月連続増 経産省 2月の生産動態統計速報発表
No.842:燃料油販売 3カ月振りの前年比増 エネ庁 2月の石油統計速報発表

令和4年4月18日(月)Vol.839

生産 3カ月振り上昇

経産省 2月の鉱工業生産・出荷・在庫指数速報発表

経済産業省は3月31日、2月の鉱工業生産・出荷・在庫速報を発表した。2月は、自動車工業で大幅に上昇したことなどを受けて、全体として前月比0.1%と3カ月振りの上昇。経産省では基調判断を「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。

2月生産は、3カ月振りの前月比上昇となった。2月の鉱工業生産は、季節調整済指数95.8、前月比0.1%と、3カ月振りの上昇となった。

これまでの生産の動向については、昨年以降、半導体不足やアジアでの新型コロナウイルス感染症拡大に伴う部材供給不足などの影響から、9月まで低下基調での推移となった。

その後、部材供給不足の影響の緩和などにより10月、11月と2カ月連続で上昇したが、再び部材供給不足や新型コロナウイルス感染症急拡大などの影響を受けて、1月まで2カ月連続で低下した。

本年2月は、新型コロナウイルス感染症急拡大や部材供給不足などの影響が緩和したことなどを受けて、3カ月振りに上昇した。

前月比5業種上昇、10業種低下

2月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、5業種が前月比上昇、10業種が前月比低下という結果だった。

2月は、新型コロナウイルス感染症急拡大や部材供給不足などの影響が緩和したことなどを受けて、自動車工業が大幅に上昇したことなどから、全体として上昇した。


主な上昇寄与業種についてみると、上昇寄与の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や小型乗用車等が主な上昇要因となっている。普通乗用車や小型乗用車等については、新型コロナウイルス感染症急拡大や部材供給不足などの影響が緩和したことなどを受けて上昇した。

出荷2カ月連続低下

2月の鉱工業出荷は、季節調整済指数92.7、前月比マイナス1.3%と、2カ月

連続の低下となった。業種別にみると、全体15業種のうち10業種が低下、4業種が上昇、1業種が横ばいとなった。

2月は、自動車工業などが上昇したものの、石油・石炭製品工業など多くの業種で低下したことから、全体として低下した。

主な低下寄与業種についてみると、低下寄与の最も大きかった石油・石炭製品工業は、軽油やガソリン等が主な低下要因となっている。前月からの反動減に加えて、設備の定期修理などの理由により低下したものと考えられる。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、資本財(輸送機械除く)が前月比6.5%の低下、非耐久消費財が同3.2%の低下、建設財が同1.2%の低下であった一方で、生産財が同0.2%の上昇、耐久消費財が同1.3%の上昇となった。資本財(輸送機械除く)は、金型やフラットパネル・ディスプレイ製造装置など幅広い分野での低下を受けて、4カ月振りに低下した。



在庫2カ月振り上昇

2月の鉱工業在庫は季節調整済指数101.3、前月比1.9%と2カ月振りの上昇となった。

業種別にみると、15業種のうち6業種が上昇、8業種が低下、1業種が横ばいとなった。

上昇寄与業種の中では、特に自動車工業の上昇寄与が大きくなっている。自動車工業では、生産が上昇するとともに、出荷の上昇幅が相対的に小さかったことなどから、在庫が上昇したと思われる。


在庫率上昇

2月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数118.8、前月比3.0%と5カ月振りの上昇となった。

業種別にみると、15業種のうち、8業種が上昇、7業種が低下となった。

在庫循環図をみると、本年第4四半期と昨年第1四半期は、「意図せざる在庫減局面」にあり、昨年第2四半期には、「在庫積み増し局面」に達し、第3四半期も継続したが、第4四半期では「在庫積み上がり局面」に達しており、本年第1四半期(速報ベース)も同局面に位置している。

しかし、部材供給不足などによる生産減少の影響が含まれていることなどから、今後、もう暫くその動向を注視していくことが必要だ。

2月生産基調判断「持ち直しの動き」に据え置き

2月の鉱工業生産は、前月比0.1%の上昇となった。

生産は、昨年10月と11月に部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受け、2カ月連続で上昇したが、12月と1月に部材供給不足や新型コロナウイルス感染症急拡大などの影響を受けて、2カ月連続で低下した。そうした中で2月は、新型コロナウイルス感染症急拡大や部材供給不足の影響が緩和したことなどを受けて、3カ月振りに上昇した。

また、先行きに関しては、企業の生産計画で3月と4月はともに上昇となっており、3月の補正値は前月比1.1%の上昇となり、ならしてみると持ち直しの動きにあると考えられる。

こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の2月の基調判断について、経産省では「持ち直しの動きがみられるに据え置きたい」としている。

今後、引き続き変異タイプの新型コロナウイルス感染症の拡大による内外経済への影響や、部材供給不足の影響、ウクライナ情勢などについて、注視が必要だ。

生産3・4月上昇予測

【本年3月調査】

経産省は3月31日、3月に実施した3・4月の製造工業品の生産予測調査結果を発表した。

3月初旬に実施した3月と4月の企業生産予測調査の結果によると、3月の生産計画では、前月比3.6%の上昇見込みで、この計画通りに生産されれば、3月の鉱工業生産の実績は、2カ月連続で前月比上昇が見込まれる。

ただし、生産計画は生産実績よりも上振れする傾向があるので、3月の生産計画について、生産実績との間で生じるズレを統計的に補正すると、3月の生産実績の見通しは、前月比1.1%の上昇となる。

4月の生産計画については、3月の計画から9.6%の上昇が見込まれており、先行きの全体的な方向としては、回復基調と考えられている。

3・4月通期生産計画

3月と4月の2カ月の生産計画による、業種ごとの生産予測の伸び率を通してみると、3月は全体11業種のうち7業種が前月比上昇、4業種が前月比低下、4月の生産計画では10業種が前月比上昇、1業種が前月比低下の計画となっており、製造工業全体の生産は3月、4月を通して上昇する見込みだ。

2月は、部品供給不足等の影響が緩和した自動車産業の生産が回復し、全体も上昇となったが、3月についても引き続き自動車産業を中心とした輸送機械工業の生産増加が全体を牽引する見込みである。ただし、3月16日に発生した福島県沖を震源とする地震の影響で、各自動車メーカーの工場の稼働が一時停止したため、その影響により下振れするリスクがあると考えられる。


4月については輸送機械工業だけでなく、ほとんどの業種が生産上昇の計画となっており、計画からは、製造工業全体の回復基調が明らかとなっている。

3月、4月の計画からは、製造工業全体が回復基調で推移すると考えられている。

3月の生産計画の強気と弱気

次に企業の生次に企業の生産マインドについてみよう。企業の生産マインドは、2月当初に調べた3月の生産計画が、3月当初に再度調べ直した計画と比べ、どの程度変動したか、予測修正率をみることで確認することができる。

3月の生産計画での予測修正率は、−1.2%となっており、12カ月連続で下方修正となっている。

生産計画が下方修正される状況が長期間続いており、これは半導体不足等の供給制約の影響が及んでいたものと考えられる。

3月も引き続いて下方修正となっていることから、企業の生産マインドは弱気であるものの、今回の下方修正幅はこれまでよりも縮小しており、生産マインドが上向いていると考えられる。

下方修正となっていることから、企業の生産マインドは弱気であるものの、今回の下方修正幅はこれまでよりも縮小しており、生産マインドが上向いていると考えられる。

また、生産計画を上方修正した企業数の割合から、下方修正した企業数の割合を引いた数値をみることで、企業の生産マインドを推し量ることができる。

この数値の推移と、これまでの景気循環を重ねれば、月々の上下動をならしたトレンドが概ね−5を下回ると、景気後退局面入りの可能性が高いという傾向がみられる。

3月の生産計画では、この数値の単月の値は−10.6、月々の上下動をならしたトレンドは−10.7となっている。単月、トレンド両方の数値が−5を下回っており、企業の生産マインドは弱気となっているが、単月、トレンドとも前回よりも

回復しており、ここからも生産マインドが上向いているものと考えられる。

生産計画からの見通し

予測修正率等からみる企業の生産マインドは、弱気が続いており、部品供給不足の影響等が生産の先行きに不透明感を与えてきたと考えられる。

他方で、予測修正率等が改善するなど、企業の生産マインドは上向きの兆しが見られ、さらに3月、4月を通して、生産は上昇する計画となっていることを踏まえると、先行きの改善が期待される。

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令和4年4月18日(月)Vol.840

粗鋼 前年比2カ月連続減

燃料油 前月比10カ月連続増

経産省 2月の生産動態統計速報発表

経済産業省は3月31日、2月の主要品目の生産動態統計速報を発表した。2月の粗鋼生産は730.2万トンと前月比5.9%、前年同月比2.3%のともに減となった。これで前年同月比では2カ月連続の減となった。

また、2月の石油製品生産量は燃料油計が1,250.5万㎘と前月比9.4%減だが、前年同月比13.1%と2桁の増となり、前年同月比で10カ月連続増となった。

【2月鉄鋼生産】

2月の鉄鋼生産では、銑鉄生産が523.3万トンと前月比9.8%減、前年同月比4.5%減となり、前年同月比では2カ月連続の減少となった。

2月の1日当たり粗鋼生産は26.1万トンで、1月の同25.0万トンと比べ4.2%増となった。

炉別生産では、転炉鋼が535.3万トンと前月比8.2%減、前年同月比3.5%減。電炉鋼が194.6万トンと前月比1.1%増、前年同月比1.2%増となり、前年同月比では転炉鋼は2カ月連続の減少、電炉鋼は12カ月連続の増加となった。

鋼種別生産では、普通鋼が566.8万トンと前月比3.9%減、前年同月比1.5%減。特殊鋼が163.0万トンと前月比12.4%減、前年同月比4.9%減となり、前年同月比では普通鋼は2カ月連続の減少、特殊鋼は12カ月振りの減少となった。

熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は639.6万トンと前月比4.7%減、前年同月比2.3%減となり、前年同月比では2カ月連続の減少となった。

普通鋼熱間圧延鋼材の生産498.5万トンと前月比4.6%減、前年同月比1.5%減となり、前年同月比では2カ月連続の減少となった。

特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は141.2万トンと前月比5.0%減、前年同月比4.8%減となり、前年同月比では14カ月ぶりの減少となった。

主要品種の生産内訳をみると普通鋼では、鋼帯が299.9万トンと前月比3.7%、前年同月比3.6%のともに減。冷延広幅帯鋼が117.7万トンと前月比13.0%と2桁減で、前年同月比9.4%減。鋼板が79.0万トンと前月比0.3%の微減で、前年同月比18.9%の2桁減。小形棒鋼が59.7万トンと前月比1.1%増だが、前年同月比5.0%減。冷延電気鋼帯が10.2万トンと前月比18.0%の2桁減で、前年同月比4.4%減となった。

特殊鋼では、熱間圧延鋼材が141.6万トンと前月比4.7%、前年同月比4.5%のともに減。冷延広幅帯鋼が22.3万トンと前月比5.0%、前年同月比4.8%のともに減。特殊鋼磨棒鋼・線類が16.5万トンと前月比7.0%増だが、前年同月比9.5%減となった。

鋼管では、普通鋼熱間鋼管が30.9万トンと前年同月比3.3%、前年同月比5.5%のともに増。特殊鋼熱間鋼管が9.5万トンと前月比4.0%、前年同月比9.8%のともに増となった。

めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が67.7万トンと前月比13.1%、前年同月比10.8%のともに2桁減となった

【2月の鉄鋼出荷】

2月の主要品種の出荷を品目別にみると、普通鋼では鋼帯が146.9万トンと前月比5.6%減、前年同月比8.7%のともに減。冷延広幅帯鋼が45.2万トンと前月比6.9%、前年同月比8.0%のともに減。鋼板が77.3万トンと前月比3.1%減だが、前年同月比19.0%の2桁増。H形鋼が28.3万トンと前月比3.9%減だが、前年同月比10.1%の2桁増。線材が11.4万トンと前月比1.4%減で、前年同月比15.9%の2桁減となった。

特殊鋼では、熱間圧延鋼材が104.2万トンと前月比0.3%の微増だが、前年同月比0.5%の微増。冷延広幅帯鋼が19.9万トンと前月比3.30%増だが、前年同月比7.6%減。特殊鋼磨棒鋼・線類が15.5万トンと前月比7.2%増だが、前年同月比9.8%減となった。

鋼管では、普通鋼熱間鋼管が25.6万トンと前月比1.6%、前年同月比6.8%の大幅増。特殊鋼熱間鋼管が7.5万トンと前月比8.8%、前年同月比5.5%のともに増。亜鉛めっき鋼板が69.1万トンと前月比3.6%減で、前年同月比10.3%の2桁減となった。

【2月の石油生産】

2月の石油製品の生産を油種別みると、重油が245.0万㎘と前月比0.5%の微増で、前年同月比10.3%の2桁増。ガソリンが371.2万㎘と前月比10.6%の2桁減だが、前年同月比3.2%増。軽油が296.6万㎘と前月比11.1%の2桁減だが、前年同月比25.3%の大幅増。灯油が154.2万㎘と前月比17.3%の大2桁減だが、前年同月比17.0%の2桁増。ナフサが124.1万㎘と前月比6.7%の減だが、前年同月比20.9%の大幅増。ジェット燃料油が54.4万㎘と前月比14.0%の2桁減だが、前年同月比12.7%の2桁増。液化石油ガスが23.9万トンと前月比14.8%の2桁減だが、前年同月比1.8%増。アスファルトが21.6万トンと前月比3.2%減だが、前年同月比0.5%の微増。潤滑油が16.4万㎘と前月比0.3%の微増だが、前年同月比3.7%減となった。

【2月の石油出荷】

2月の石油製品の出荷をみると、燃料油計で1,460.1万㎘と前月比10.5%の2桁減だが、前年同月比5.7%増となった。

油種別では、重油が253.4万㎘と前月比0.7%減だが、前年同月比4.1%増。ガソリンが375.9万㎘と前月比10.9%の2桁減で、前年同月比も1.8%減。軽油が306.1万㎘と前月比11.2%の2桁減だが、前年同月比14.1%の2桁増。灯油が185.6万㎘と前月比13.2%の2桁減だが、前年同月比6.9%増。ナフサが275.7万㎘と前月比14.7%の2桁減だが、前年同月比1.2%増。ジェット燃料油が63.3万㎘と前月比13.5%減だが、前年同月比53.6%の大幅増。液化石油ガスが35.8万トンと前月比8.5%減で、前年同月比0.3%の微減。アスファルトが17.0万トンと前月比0.2%の微減で、前年同月比7.9%減。潤滑油が17.6万㎘と前月比0.8%の微減で、前年同月比9.8%減となった。

【2月のコークス・石灰石生産と出荷】

2月のコークスの生産は、228.7万トンと前月比10.3%の2桁減で、前年同月比3.4%減。出荷は51.7万トンと前月比9.6%増、前年同月比8.9%のともに減となった。

2月の石灰石の生産は、1,047.9万トンと前月比5.3%、前年同月比5.9%のともに増。出荷は834.7万トンと前月比1.6%、前年同月比5.6%のともにとなった。

※添付資料

鉄鋼統計速報 令和4年2月  Excel

資源エネルギー統計速報 令和4年2月  Excel

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令和4年4月18日(月)Vol.841

燃料油販売 3カ月振りの前年比増

エネ庁 2月の石油統計速報発表

資源エネルギー庁は3月31日、2月の石油統計速報を発表した。

1.原油の動向

2月の原油輸入量は1,246万㎘、前年同月比108.5%と7カ月連続で前年を上回った。輸入量の多い順にみると次の通りとなっている。

(1)サウジアラビア(498万㎘、前年同月比93.1%)

(2)アラブ首長国連邦(392万㎘、同131.5%)

(3)カタール(110万㎘、同101.7%)

(4)クウェート(106万㎘、同95.3%)

(5)ロシア(46万㎘、同147.3%)

2月の中東依存度は90.3%、前年同月に比べ3.0ポイント減と2カ月連続で前年を下回った。

2.燃料油の生産

燃料油の生産は1,251万㎘、前年同月比113.1%と10カ月連続で前年を上回った。油種別にみるとガソリン、ナフサ、ジェット燃料油、灯油、軽油及びB・C重油は前年同月を上回ったが、A重油は前年同月を下回った。

3.燃料油の輸入、輸出

燃料油の輸入は254万㎘、前年同月比71.5%と3カ月振りに前年を下回った。輸出は238万㎘、前年同月比142.6%と2カ月連続で前年を上回った。

4.燃料油の国内販売

燃料油の国内販売は1,308万㎘、前年同月比97.7%と3カ月振りに前年を下回った。油種別にみるとジェット燃料油、灯油、A重油及びB・C重油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ及び軽油は前年同月を下回った。

5.燃料油の在庫

燃料油の在庫は853万㎘、前年同月比89.6%と8カ月連続で前年を下回った。油種別にみても全油種(ガソリン、ナフサ、ジェット燃料油、灯油、軽油、A重油及びB・C重油)で前年同月を下回った。

※添付資料

石油需給概要 令和4年2月  Excel