年頭所感

会長 小比加 恒久obika11

平成24年の年頭にあたり皆様に一言ご挨拶を申し上げます。
平成23年を振り返りますと、一昨年の9月以降エコカー減税の廃止等から輸送量が伸び悩むさなかに、日本国民が忘れてはならない3月11日の東日本大震災発生と東京電力福島
第1原子力発電所の事故が相次ぎました。9月には本土直撃の大型台風、10月にはタイの洪水、為替マーケットに於ける戦後最高値の円高、さらに11月に入ると欧州危機と、あっと
いう間の1年間でした。8月には民主党の野田政権が誕生し、震災復興に期待致しましたが、東日本大震災発生から9ヵ月以上経っても中々前に進んでいないと言わざるを得ませ
ん。昨年末には種々の要因も重なり鉄鋼も減産傾向になりました。
  国土交通省は、船舶の老朽化が進んでおり、今後も安定的な輸送を供給するためには、
代替建造の促進が喫緊の課題とし、加えて内閣府の行政刷新会議においては、暫定措置事
業の早期解消を指摘されたことから、内航海運事業者の競争力を強化し代替建造を促進す
ることが必要だとして「内航海運代替建造対策検討会」において議論を重ね、昨年3月末
に代替建造促進に向けた4つの視点、①競争力の強化 ②環境適応型産業への展開 ③新たな
需要構造への対応 ④暫定措置事業のあり方、が提言されました。
 さらに、昨年の6月には国土交通省海事局より「内航海運暫定措置事業の今後につい
て」が示され、全海運では船主部会、輸送部会、砂利船部会、内航海運活性化プロジェク
トチーム、理事会等で内部議論を重ね9月に日本内航海運組合総連合会に意見書を提出致
しました。総連合会においては、政策委員会・理事会で議論の結果、ほぼ全海運の考え方
をベースにした業界案を作成し10月の政策委員会、理事会を経て国土交通省海事局に提示
致しました。現在は細部のすり合わせの段階にあることから、詳細はまだ発表出来ません
が、今後も最大限努力する所存です。
  内航海運業界が背負う課題は山積しております。運賃・用船料の低迷からの脱却、船員
の確保・育成、カボタージュ規制問題への対応、過剰船腹の解消等々皆様の御協力無くし
て何ひとつ解決できるものはありません。
  東日本大震災直後の内航業界挙げての活動に対しては各方面から高い評価を頂き、また
内航船の重要性も認識して頂きましたが、本年も東日本大震災の被災地復興に向けて業界
一丸となって邁進して行こうではありませんか。
  今年は辰年です。昇り竜になって佳い年になりますよう祈念申し上げ、年頭の挨拶とさ
せていただきます。

2012年(平成24年)1月5日掲載