組合員の皆様へ
第65回通常総会ご挨拶
全国海運組合連合会
会長 藏本 由紀夫
第65回通常総会並びに臨時理事会が滞りなく終える事ができましたのも、偏に皆様方のお蔭と改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。
さて、昨年度を振り返えりますと、3年にわたるコロナ渦による社会経済活動も徐々に落ち着きをみせつつ、今年5月8日から感染症の位置付けが2類から5類へと移行されました。
また、少しずつ回復基調にあるものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化による急速な円安やエネルギー価格の上昇、更には、原材料価格の高騰などを通じて、国内輸送量の低迷にも大きな影響を与えました。
このような中 内航業界では、令和3年8月に暫定措置事業が事実上終了し、その後の組織・事業・財源など、新たな物流団体としての方向性について議論され、混乱の中での船出をしたところでございます。勿論、今後も引き続きの見直し等行いながら、将来に向け持続可能な組織創りを行っていかなければならないと思っております。
そして、昨年4月以降海事産業強化法が施行され、働き方改革が本格的に実施されておりますが、船主だけの努力では解決できない課題も多く、船主・オペレーター・荷主間の連携強化が大きな鍵となります。
今月(6月2日)行われた、わが国物流の革新に関する関係閣僚会議、所謂「物流革新に向けた政策パッケージ」や、トラック業界に端を発した2024年問題(物流の停滞)に対応する具体的な規制的措置として、「物流の適正化・生産性向上に向けた、荷主事業者・物流事業者の取組みに関するガイドライン」の作成・公表、更には、継続的に行われている「安定・効率輸送協議会」における議論など、関係各社・団体の今後の動向にも注目するところでございます。
勿論、業界の問題は山積しており、船員対策も喫緊の課題です。船員不足のみならず定着率を高める対策も検討しなければなりません。昨年度は、内航若手船員の定着化に向けた調査を外部に委託し、先日その報告がなされましたので、後日皆さんの手元にもお届けできるものと思っています。
また、業界は引き続き、安定輸送の確保(=船員政策)・事業環境の改善・コンプライアンス・持続可能な業界構造・危機管理・環境と安全対策・カボタージュ堅持・広報など、多くの課題に向き合いながらこれからも検討を繰り返していきますが、今年度特に優先すべきは暫定剰余金を活用した具体的活動であると考えています。
決められた期限、金額を有効に活用できるか否かによって、業界の将来に大きな影響を与えるものと思っています。
当連合会におきましても、昨年度は大幅なコスト削減と組織体制の見直しを行いました。
「組織の多重構造・地方の声・船員確保と広報に視点を置く」といった課題に対する施策に対して、全会一丸となって幾度も議論を重ね、最終的に3つの委員会と若手の活躍を期待するワーキンググループという理想的な形が出来たと思っています。
事業者におけるこれらの各種環境変化に対応する為、当連合会は、ベテランの経験を活かし、若手の行動力を結集しながら、組織を挙げてサポートしていくと同時に、関係団体・関係者と連携し積極的に今後も取り組んで参りますので、引き続きのご理解とご協力を何卒宜しくお願い申し上げます。
2023年6月吉日