組合員の皆様へ

新年(2023年)のご挨拶

全国海運組合連合会
会長 藏本 由紀夫

新年あけましておめでとうございます。

関係者の皆様には、健やかに新春を迎えられたこととお慶び申し上げます。

さて、2022年を振り返りますと、下半期はwithコロナに向け、ワクチン接種の進捗に応じた行動制限や経済活動制限を見直す等、状況に対応した政策が展開され、又、緊迫化するウクライナ情勢を受けて、原油価格高騰を抑制する燃料油価格の激変緩和対策が実施されるなど、我が国経済もインフレ傾向が加速致しました。

内航海運業界では、4月に海事産業強化法が施行され、船主やオペレーターを取り巻く環境変化への対応が求められ、契約書面交付の義務付けや船員の労務管理適正化により、過重労働防止措置を講じることとなりました。

又、50年余りも続いてきた暫定措置事業(船腹調整)が終了し、自由な船舶建造が出来ることとなりました。

しかし、内航海運業界は船員及び船舶二つの高齢化が喫緊の課題であり、その対応には適正な運賃・用船料の収受が不可欠で、荷主やオペレーターの理解と協力なくして成し得ない状況となっています。

内航船員の現場における労働実態を正しくご理解頂くことによって、はじめて持続可能な内航海運業界の構築が可能になると考えています。

更に、SDGsの面からみても、海上労働が陸上と同等の環境にあることを、船主やオペレーターは今後も荷主に伝えていく必要があると思われます。

尚、船主が直面する課題として、STCW基本訓練実施講習による自社船員の受講、それに伴う費用の増加、そして、内航船舶の2030年度CO2削減目標達成に向けた省エネ船、LNG燃料船、燃料電池船等の普及促進等、いつ実用化されるか不透明な現状ではありますが、今後、環境に配慮した船舶を建造していくことは船主として欠かせないことから、国交省には中長期的な指標を早急に明示して頂きたいと願う次第です。

又、内航海運組合の組織については、組合員の減少が進む中で、今後、地域組織の統合や全海運を含めた5組合の枠を超えた横のつながりの強化・組織全体のスリム化、組織の効率化など求められることから、今後の更なる議論の進展に期待するところです。

本年も内航海運業界を取り巻く課題が山積する中で、当連合会は、組合員の皆様や総連合会と連携し、組合員の要望に耳を傾け、組合員の更なる地位向上並びに、国の施策実施等に向け尽力して参ります。

最後に関係者の皆様方の益々のご健勝とご多幸を祈念して、新年のご挨拶に代えさせて頂きます。

 2023年1月吉日