第60回通常総会を終えて

全国海運組合連合会
会長 藤井 肇



 本日、第60回通常総会が滞りなく終了致しました。
お陰様で平成30年度の事業計画案、収支予算案を満場一致でご承認いただきました。

 本日が実質この1年間のスタートの日であり、執行部一同心新たにして精進して参りますので、引き続きご支援・ご協力のほど、宜しくお願い致します。

 我が国を取り巻く経済環境は、米国トランプ政権の保護主義政策推進による我が国を含めた各国との経済摩擦が激化する様相を呈してきており、国内の政治動向に加えて混迷が深まっております。
 一方、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた都心部再開発など公共工事等の活発化、労働力不足を背景とした雇用環境の改善等により、景気は引き続き緩やかな回復傾向となることが期待されている処でもあります。
 斯様な中、内航海運業界にあっては、海上輸送量も徐々に回復傾向にありますが、安全且つ安定輸送を担うべき内航船舶は、全船舶の72%を船齢14年を超える老齢船が占めており、近代設備を備えた船舶への代替建造が一刻も早く求められております。これを促進するためには適正な運賃・用船料の改善が急務であり、政府主導による経済界への待遇改善要請、加えて陸上トラックの人手不足による運賃値上げ等とリンクしつつ、適正な運賃・用船料の収受に向け、業界一丸となって取り組む必要があると考えております。
 全海運におきましても、「船はあっても動かす人が居ない」といった状況が起きぬよう、船主部会を中心に運賃・用船料の適正化に向けた具体的な行動を検討すべき時機だとするご意見もございます。船舶コストに於ける船員費の占める割合は年々高くなっています。このことはオペレーター各位も重々認識されております。荷主の中には、物流費は余計な経費だと考えている方々がおられます。そうした方々の意識改革がなければ内航海運の改善・成長は成り立ちません。そうした意味でも「内航未来創造プラン」に謳われ、設置された「安定・効率輸送協議会」の責任は大変重いものと認識しており、また期待も大きいものがあります。
 加えて、2020年からのSOx規制に対応するため、海事関連業界と石油生産業界、並びに関係省庁との連携を強く深め、三位一体となり環境保全に努めていかなければなりません。
 更には、暫定措置事業の順調な借入金返済により収支相償う時期が早まる可能性も考えられており、同事業終了を見据えた海運組合の在り方、ポスト暫定事業等について、真剣且つ早急に議論を深めていくべき重要な時機でもあります。
 全海運は北海道から沖縄まで58の海運組合を擁しており、それぞれ環境も異なり、考え方も異なっておりますが、活性化PTを中心に、会員各位の意見を拝聴しながらより良い提案をさせて頂きたいと考えております。
 また、従前から叫ばれてきた船員の高年齢化による船員不足問題はいよいよ「待った無し」の深刻さを増して来ております。
 若年船員の確保・育成問題は業界最大の緊急課題であり、船員が魅力ある職業であることの広報に努め、特に、海技教育機構卒業生は勿論のこと、水産高校生、工業高校生、一般社会人、退職自衛官等広く人材発掘に全精力を傾注しなければなりません。同時に内航船員育成の効率化と海技レベル向上の為のシステム化の取組も必要となっております。
 私と致しましても実効ある日本人船員・若年船員の確保育成を目指し、海洋共育センターへの支援、また船員という職業を国民広く知って頂けるよう、広報活動を含め有効な対策を提案すべく努力している処ですが、一方で海技学校等船員養成機関への若者の応募状況が年々増加する中で学校の定員枠等の問題もあり、折角の希望者を手放さざるを得ない現実もあります。これらの若者たちを如何に取り込んでいくかと言うこともこれからの重要な課題であります。
 船員を目指す若者達には、日本全国各地で活躍する内航船が、日本の基礎産業を支えているという誇りを持ち、また是非共多くの若者に船員を目指して貰えるよう、労働環境改善にも取り組んでいきたいと考えております。
 陸上では一昨年、法令コストを無視したバスの事故多発等が大きな問題となっておりました。
 皆様には環境面を含め安全運航、そして法令遵守をしっかりと行いながら、国民から信頼される内航海運を構築していくことが求められております。
 そのためにも、厳しい中ではありますが運賃用船料の適正化は不可欠であり、皆様の更なるご努力をお願い申し上げる処であります。

 この1年間、宜しくお願い致します。


 平成30年6月15日