No.123:「暫定措置事業の早期解消できると考える」 国交省が内閣府集計の経団連の規制改革要望に回答

平成21年9月2日(水)Vol.123

「暫定措置事業の早期解消できると考える」

国交省が内閣府集計の経団連の規制改革要望に回答

 
内閣府の規制改革会議はこのほど、さる6月に関係各方面から寄せられ全国規模の規制改革要望に対する関係省庁からの回答をまとめた。今回要望の中には、日本経済団体連合会からの「内航海運暫定措置事業の早期解消」があったが、これに対し国土交通省では「2015年までは少なくとも交付金制度と免除制度を継続するが、本事業自体は収支相償った時点で終了する」としながら、「資金の一部について政府保証により同事業の円滑かつ着実に実施できるよう支援しており、早期解消できるものと考えている」と回答していることが明らかとなった。

経団連の要望と国交省の回答は次の通り。

【経団連の要望事項】内航海運暫定措置事業の早期解消

◇ 求める措置の具体的内容

内航海運暫定措置事業は、公的資金による解消など、できるだけ早期に終了させるべく施策を講じるべきである。

◇ 具体的事業の実施内容・提案理由

以下の問題点があり、コスト競争力のある事業者が生まれにくい状況となっている。

日計算上は交納付金の収支の目処は立つものの、今後の建造状況の如何によっては、同事業の解消ができないことも考えられる。

月新規参入時に多額の納付金が必要なため、コストが高くなり参入の障害となっている。

火既存業者のリプレース時も交納付金の差額の納付が必要で、リプレースの障害となっている。

・現時点での交納付金差額

98年~08年1月解撤交付金額 1,230億円(1,868千重量トン) 605億円

〃     建造納付金額   624億円( 801千重量トン)

2013年以降も建造納付金が必要になれば、船主の建造時負担が大きくなり、当事業の目的である内航海運の活性化が図れない。「海上運送活性化3法案」の付帯決議の中で、「暫定措置事業の円滑かつ着実な実施」がうたわれているが、このままでは抜本的な解決にならない。

◇ その他(特記事項)

船腹調整事業の解消に伴い、1998年5月に暫定措置事業が認可された。これにより日本内航海運組合総連合会は船舶を解撤する船主に解撤交付金を支払い、新規に建造する船主は内航総連に建造納付金を納付することとなった。同事業は納・交付金の収支が相償った時点で解消することとなっているが、解撤に対して建造が少なく、期限内(2013年)の事業解消が困難な状況から、2009年1月の日本内航海運組合総連合会理事会において2015年までの事業継続が承認された。

【国交省の回答】

◇ 措置の概要(対応策)

平成19年度の建造実績は110隻を超え、平成20年度においても100隻を超え建造量は大幅に増加してきている。さらに平成21年5月期の建造申請も順調に推移してきていることから、その他(特記事項)にある「解撤に対し建造隻数が少ない」という懸念はないと考えている。

本事業を円滑かつ着実に実施するためには、納付金の安定的な確保が肝要であり、内航船舶の代替建造促進を図ることが不可欠であると考えており、環境性能の高い船舶への代替建造支援などを行っているところ。

さらに、同事業に必要な資金の一部に対して政府保証を行い、資金面においても事業が円滑かつ着実に実施するよう支援しており、早期に解消できるものと考えている。

◇ その他

なお、特記事項にある日本内航海運組合総連合会理事会で承認されたのは、2015年までに事業を解消するということではなく、同年までは少なくとも交付金制度と免除制度を継続するということであり、本事業自体は収支相償った時点で終了する。

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