No.706: 生産は21年以降最高値 経産省 4月の鉱工業・生産出荷・在庫速報発表
No.707: 鉄鋼生産 前月比減で前年比増 燃料油生産 前月比・前年比とも減 経産省 4月の生産動態統計速報発表
No.708: 燃料油国内販売 5カ月連続前年割れ エネ庁 4月の石油統計速報発表

平成29年6月1日(月)Vol.706

生産は21年以降最高値

経産省 4月の鉱工業・生産出荷・在庫速報発表

 

経済産業省は5月31日、4月の鉱工業生産・出荷・在庫速報を発表した。

それによると4月の生産、出荷は2カ月振りに前月比上昇し、主要業種の生産は軒並み前月比上昇となった。短期予測では5月減産、6月増産計画だが、6月の生産水準は4月に及ばない。基調判断は据え置き「持ち直しの動き」とした。

4月の生産は季節調整済指数103.8で、前月比4.0%上昇となった。前年同月比は5.7%上昇で、6カ月連続で前年同月比上昇が続いている。

4月の指数値は103.8だが、近年最も生産指数が高かった消費税率引上げ前の平成26年1月の指数値は103.2であり、このレベルも超えてきた。4月の指数値は、平成20年10月の107.4以来のものとなっており、いわゆるリーマンショックによって大きく鉱工業生産が低下した平成21年以降の最高値となっている。

4月の鉱工業出荷は指数値101.1、前月比2.7%と2カ月振りの大幅上昇となった。前年同月比もプラスが6カ月続いている。出荷指数101.1も、26年3月の駆け込み需要期が比較的高いレベルの水準に戻っている。グラフの形状を見ても、昨年第1四半期を底に、着実に出荷指数が回復していることがわかる。

4月の鉱工業生産は、前月比4.0%と大幅上昇だすが、15業種のうち11業種が前月比上昇となった。3月は大幅低下だったので低下業種が多く、4月の上昇業種のうち7業種が反転上昇業種となった。

4月の生産上昇への影響度、寄与が特に大きいのは輸送機械工業、汎用・生産用・業務用機械工業と電子部品・デバイス工業の3業種で、低下業種の低下寄与は小さくなっており、主要業種は軒並み前月比上昇となっている。

今年5月の製造工業生産計画では、輸送機械工業が大きな減産計画となっており、前月比マイナス2.5%の低下見込みとなっている。

逆に6月は輸送機械工業、汎用・生産用・業務用機械工業の上昇によって、増産計画となっており、5月計画比1.8%上昇となっている。ただ、この計画伸び率で推移すると6月の生産計画は、4月の水準にまでは戻れないという結果になる。

注)▲はマイナスを示す。
年間補正処理により、3月調査の数値が補正されました。
平成29年4月 平成29年5月見込み 平成29年6月見込み
平成29年5月調査(今回) ▲2.5% 1.8%
平成29年4月調査(前回) 8.9% ▲3.7%

製造工業生産予測調査の試算値 (季節調整済前月比(%))

平成22年(2010年)=100

試算値 予測調査結果
5月前月比 ▲3.5%
(▲4.4%~▲2.5%)
▲2.5%

なお、企業の生産予測に含まれる規則的誤差を修正すると、5月の生産は前月比マイナス3.5%程の低下になるものと試算している。

4月の鉱工業生産は大きめの上昇を見せたが、出荷も2カ月振りの前月比上昇となっている。しかし、在庫は5カ月連続の前月末比上昇となっており、在庫水準も高くなっている。4月単月のデータで在庫循環をみると、「在庫積み増し局面」となっている。出荷との比較で少し「強気過ぎる」生産となっており、若干、生産と出荷のバランスが気になるところだ。

また、生産の先行きについては5月低下、6月上昇が見込まれるが、6月の生産水準は4月の水準には戻らない可能性が高いと思われる。

こうした状況を踏まえ、基調判断については、「持ち直しの動き」で据え置きたい。

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平成29年6月1日(月)Vol.707

鉄鋼生産 前月比減で前年比増

燃料油生産 前月比・前年比とも減

経産省 4月の生産動態統計速報発表

 

経済産業省と資源エネルギー庁は5月31日、4月の生産動態統計速報を発表した。それによると粗鋼生産量は875.5万トンで前月比1.5%減少だが、前年同月比3.0%増加した。4月の鉄鋼は、前月が期末で増加した分、その反動で減少したが、前年同月比では各品種が軒並み増加を示している。

また、石油製品生産量は燃料油計が1,375.9万㎘と前月比12.0%の2桁減少で、前年同月比も7.0%減少となった。石油は各品種とも前月比、前年同月比とも減少を示している。

【4月の鉄鋼生産】

4月の鉄鋼生産は銑鉄が前月比減で、前年同月比微減横這いとなった。粗鋼、熱間圧延鋼材は前月比では減少したが、前年同月比では増加した。

銑鉄生産は651.4万トンと前月比0.7%減で、前年同月比微減横這いとなった。

粗鋼生産は875.2万トンと前月比1.5%減だが、前年同月比3.0%増となり、前年同月比では2カ月連続の増加となった。4月の1日当たり粗鋼生産は29.17万トンで、3月の同28.67万トンと比べ1.8%増となった。

炉別生産をみると、転炉鋼が662.3万トンと前月比0.9%減だが、前年同月比0.6%増。電炉鋼が212.9万トンと同3.3%減だが、同11.3%増となり、前年同月比でみると転炉鋼は3カ月振りの増加、電炉鋼は7カ月連続の増加となった。

鋼種別生産では、普通鋼が671.5万トンと前月比0.4%、前年同月比1.4%のともに増。特殊鋼が203.8万トンと同7.5%減だが、同8.3%増となり、前年同月比では普通鋼は3カ月振りの増加となった。特殊鋼は12カ月連続の増加だった。

熱間圧延鋼材の生産は758.2万トンと前月に比べ4.7%減だが、前年同月比では2.0%増となり、前年同月比では9カ月連続の増加となった。

普通鋼熱間圧延鋼材の生産は591.6万トンと前月比24.5%の大幅減で、前年同月比0.6%の微減だが、2カ月連続の減少となった。

品種別では、条鋼類は153.6万トンと前月比1.3%減だが、前年同月比4.1%増で、前年同月比では7カ月連続の増加となった。鋼板類は434.0万トンで前月比5.5%、前年同月比2.1%のともに減となり、前年同月比では3カ月連続の減少となった。

主要品種の生産内訳をみると、普通鋼では鋼帯が363.3万トンと前月比5.9%減だが、前年同月比2.2%増。冷延広幅帯鋼が155.8万トンと前月比8.6%減だが、前年同月9.9%増。鋼板が73.5万トンと前月比0.3%の微増だが、前年同月比116.1%の2桁減。小形棒鋼が73.8万トンと前月比3.6%、前年同月比3.0%のともに増。H形鋼が31.1万トンと前月比4.3%減だが、前年同月比5.3%増となった。

特殊鋼では、熱間圧延鋼材が173.3万トンと前月比1.8%減だが、前年同月比16.8%の2桁増。冷延広幅鋼帯が23.4トンと前月比7.2%減だが、前年同月比14.0%の2桁に増となった。

熱間鋼管では、普通鋼が35.1万トンと前月比4.4%減だが、前年同月比4.8%増。特殊鋼が16.1トンと前月比5.0%減だが、前年同月比39.4%の大幅増となった。

めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が90.8万トンと前月比9.9%減だが、前年同月比11.7%の2桁増となった。

【4月の鉄鋼出荷】

出荷を品目別にみると、普通鋼の鋼帯が178.2万トンと前月比11.1%の2桁減だが、前年同月比0.5%の微増。鋼板が70.7万トンと前月比15.4%、前年同月比11.7%のともに2桁減。小形棒鋼が69.2万トンと前月比8.4%、前年同月比1.9%のともに減。H形鋼が30.5万㌧で前月比15.9%の2桁減だが、前年同月比5.5%増。冷延広幅帯鋼が56.0万トンと前月比17.5%の2桁減だが、前年同月比14.6%の2桁増となった。

特殊鋼の熱間圧延鋼材は122.4万トンと前月比10.6%の2桁減だが、前年同月比13.0%の2桁増。冷延広幅帯鋼は20.8万トンと前月比15.6%の2桁減だが、前年同月比17.0%の2桁増となった。

熱間鋼管では、普通鋼が28.7万トンと前月比15.2%の2桁減だが、前年同月比0.8%の微増。特殊鋼が9.7万トンと前月比48.8%の大幅減だが、前年同月比63.4%の大幅増となった。

めっき鋼板では、亜鉛めっき鋼板が85.4万トンと前月比17.3%の2桁減だが、前年同月比11.0%の2桁増となった。

【4月の石油生産】

生産を油種別にみると、重油が246.3万㎘と前月比15.7%の2桁減で、前年同月比も7.7%減。ガソリンが423.4万㎘で前月比10.1%の2桁減で、前年同月比も3.9%減。軽油が331.7万㎘と前月比2.9%、前年同月比2.8%のともに減。灯油が117.2万㎘と前月比23.0%の大幅減だが、前年同月比1.3%増。ナフサが133.2㎘と前月比23.5%、前年同月比20.9%のともに大幅減。ジェット燃料油が124.1万㎘と前月比6.4%減で、前年同月比15.7%の2桁減。液化石油ガスが39.2万トンと前月比0.6%の微増だが、前年同月比5.3%減。アスファルトが23.5万トンと前月比23.9%の大幅減で、前年同月比0.7%の微減。潤滑油が18.1万㎘と前月比15.7%の2桁減で、前年同月比も20.5%の大幅減となった。

【4月の石油出荷】

出荷を油種別にみると、重油が255.2万㎘と前月比13.3%の2桁減で、前年同月比10.9%も3.2%減。ガソリンが425.3万㎘と前月比13.5%の2桁減で、前年同月比も2.7%減。軽油が324.3万㎘と前月比12.2%の2桁減で、前年同月比も2.6%減。灯油が103.5万㎘と前月比43.0%の大幅減で、前年同月比も4.3%減。ナフサが355.0万㎘と前月比10.5%の2桁減で、前年同月比も9.0%の減。ジェット燃料油が116.1万㎘と前月比12.4%、前年同月比14.0%のともに2桁減。液化石油ガスが48.4万トンと前月比0.2%の微減で、前年同月比も3.5%減。アスファルトが16.9万トンと前月比29.6%の大幅減だが、前年同月比8.9%増。潤滑油が19.5万㎘と前月比17.5%、前年同月比18.8%のともに2桁減となった。

【4月のコークス・石灰石】

4月のコークスの生産は270.9万トンと前月比3.9%減で、前年同月比0.4%の微減。出荷は72.0万トンと前月比3.1%増だが、前年同月比3.6%減となった。

4月の石灰石の生産は1,067.8万トンと前月比16.1%の2桁減で、前年同月比0.5%の微減。出荷は895.4万トンと前月比10.5%の2桁減だが、前年同月比0.2%の微増を示した。

※添付資料

鉄鋼統計速報 平成29年4月 Excel

資源エネルギー統計速報 平成29年4月 Excel

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平成29年6月1日(月)Vol.708

燃料油国内販売 5カ月連続前年割れ

エネ庁 4月の石油統計速報発表

 

資源エネルギー庁は5月31日、4月の石油統計速報を発表した。概要は次の通り。

1.原油の動向

4月の原油輸入量は1,684万㎘、前年同月比101.8%と3カ月振りに前年を上回った。輸入量の多い順にみると次の通り。

(1)サウジアラビア(661万㎘、前年同月比97.4%)

(2)アラブ首長国連邦(397万㎘、同124.0%)

(3)クウェート(123万㎘、同89.5%)

(4)カタール(118万㎘、同69.3%)

(5)ロシア(105万㎘、同89.9%)となっている。

4月の中東依存度は84.0%、前年同月に比べ3.6ポイント減と3カ月振りに前年を下回った。

2.燃料油の生産

燃料油の生産は1,376万㎘、前年同月比93.0%と3カ月連続して前年を下回った。油種別にみると、灯油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、ジェット燃料、軽油、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。

3.燃料油の輸入、輸出

燃料油の輸入は299万㎘、前年同月比120.8%と3カ月連続して前年を上回った。輸出は203万㎘、同79.5%と3カ月連続して前年を下回った。

4.燃料油の国内販売

燃料油の国内販売は1,392万㎘、前年同月比97.7%と5カ月連続して前年を下回った。油種別にみると、ジェット燃料油、灯油及び軽油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。

5.燃料油の在庫

燃料油の在庫は920万㎘、前年同月比100.0%(微減)と21カ月連続して前年を下回った。油種別にみるとガソリン、ナフサ、軽油及びA重油は前年同月を上回ったが、ジェット燃料、灯油及びB・C重油は前年同月を下回った。

※添付資料

石油需給概要 平成29年4月 Excel