No.792:生産 2カ月連続上昇も弱含み 経産省 1月の鉱工業生産・出荷・在庫指数速報発表
No.793:販売 4カ月連続前年割れ エネ庁 1月の石油統計速報発表
No.794:粗鋼生産 6カ月連続前年比減 燃料油生産 2カ月連続前年比減 経産省 12月の生産動態統計速報発表

令和2年3月5日(木)Vol.792

生産 2カ月連続上昇も弱含み

経産省 1月の鉱工業生産・出荷・在庫指数速報発表

経済産業省は2月28日、1月の鉱工業生産・出荷・在庫指数速報を発表した。1月の鉱工業生産は前月比0.8%の上昇で、2カ月連続の上昇となったものの、水準はいまだ低く先行きは再び低下も見込まれる。経産省では1月の基調判断を「生産は一進一退ながら弱含み」と修正している。

1月は前月比0.8%と上昇

1月の鉱工業生産は季節調整済指数99.6、前月比0.8%と、2カ月連続の前月比上昇となった。先月時点での企業の生産計画の上方バイアスを補正した試算値(最頻値で前月比0.5%)を若干上回る上昇幅となった。

生産は昨年10月、11月と2カ月連続で大きく低下していたが、そこからの2カ月連続での上昇となった。ただ、生産水準はいまだ低い状態にとどまり、1月の指数値99.6は、昨年10月に生産が大きく低下する前と比べると、2016年7月の指数値99.8より低い水準となっている。10月、11月の大幅低下の後の上昇としては、戻りはまだ弱く感じられるところだ。

1月は8月が前月比上昇

1月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち8業種が前月比上昇、7業種が前月比低下という結果だった。

1月の上昇業種は、2カ月連続の前月比上昇となった化学工業(無機・有機化学工業・医薬品を除く)を除けば、いずれも昨年12月に前月比で低下していた業種が戻した形だ。生産上昇の勢いが感じられる業種はほとんどない。

1月は、昨年第4四半期(10〜12月)に大幅に低下した自動車工業の上昇寄与が特に大きくなっていた。次いで、輸送機械工業(自動車工業除く)、その他工業等が上昇寄与業種として挙げられる。

上昇寄与の最も大きかった自動車工業は前月比5.5%の上昇で、2カ月振りの上昇となった。自動車工業は昨年第3四半期(7〜9月)、第4四半期と連続で大きく低下していたが、1月はこれまでの減産の反動もあり、一部戻した形だ。普通乗用車、小型乗用車等が上昇要因となっている。

上昇寄与2位の輸送機械工業(自動車工業除く)は、前月比16.6%の上昇で、2カ月振りの大幅な上昇だった。航空機用発動機部品、鉄道車両等が上昇要因となっている。

上昇寄与3位のその他工業は、前月比2.5%の上昇で、4カ月振りの上昇でした。平版印刷(オフセット印刷)、工業用ゴム製品等が上昇要因となっている。

出荷は前月比小幅上昇

1月の鉱工業出荷は、指数値96.9、前月比0.2%の上昇となった。水準としては依然、今基準内での最低水準に近い水準にとどまっている。生産の上昇幅と比べると、出荷は低い水準のまま微増にとどまっており、弱さが感じられる状況が続いている。

業種別にみると、全体15業種のうち7業種が前月比上昇、8業種が前月比低下だった。

1月は自動車工業、プラスチック製品工業、化学工業(無機・有機化学工業・医薬品除く)等が上昇しており、特に自動車工業の上昇寄与が大きかった。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財の出荷は前月比0.5%の上昇、最終需要財の出荷は前月比−0.4%だった。

1月の出荷上昇に対する寄与、影響度が最も大きかったのは消費財だった。耐久消費財の出荷は前月比8.1%の上昇で、2カ月振りの上昇となった。非耐久消費財の出荷は前月比2.9%の上昇となり、2カ月振りの上昇となった。消費財全体では出荷は前月比3.0%の上昇で、2カ月振りの上昇となっている。

一方、資本財(輸送機械除く)の出荷は、前月比−5.1%と、2カ月振りの低下となった。12月は12.7%と大幅に上昇したので、経産省では「その反動もあっての低下と考えられる」としている。

また、建設財は、前月比−1.6%となり、2カ月振りの低下となった。

在庫 今基準内最高水準

1月の鉱工業在庫は、指数値105.8、前月比1.5%と、2カ月連続の上昇となった。業種別にみると15業種中、10業種が上昇、5業種が低下だった。上昇寄与が大きかった業種は自動車工業、生産用機械工業、石油・石炭製品工業等が挙げられる。

在庫については、2019年前半まで上昇が続き、6月に今基準内の最高水準を更新した後、徐々に低下がみられていたが、12月、1月と上昇が続き、再び今基準内の最高水準を更新した。

は依然低い状況にある。業種毎の動向をみても、1月は前月の上昇業種のほとんどが低下する中、これまで大幅に低下していた自動車工業の戻りが主に生産の上昇を牽引した形で、生産の上昇に勢いは感じられない。

出荷の伸びは依然弱く、在庫も最高水準を更新していることからも、生産の動向に勢いはなかなか感じにくい状況だ。

一方、先行きに関しては、企業の生産計画で「2月は大幅な上昇、3月はそれを上回る大幅な低下」となっている。この計画は、2月上旬に実施した調査結果の集計であることから、新型コロナウイルス感染症の影響は十分には織り込まれておらず、不確実性が多分にあるが、2月は生産が上昇したとしても、3月にはその上昇分を上回る低下が見込まれているところだ。

このように生産は足元では上昇が続いているが、生産水準はいまだ低く、先行きは再び低下も見込まれているす。こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の1月の基調判断について経産省では、「生産は一進一退ながら弱含み」とし、「2月以降の先行きについても注意深くみて行きたい」としている。

製造工業生産予測指数

2月調査 結果の概要

生産 2月上昇、3月定価予測

主要企業の生産計画を調査した製造工業生産予測調査によると、2月は前月比5.3%の上昇、3月は同-6.9%の見込み。

2月の上昇業種

電子部品・デバイス工業、化学工業、輸送機械工業等

3月の低下業種

生産用機械工業、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業等

製造工業生産予測指数/生産計画から見る生産動向(季節調整済前月比%)

2020年2月見込み 2020年3月見込み
2020年2月調査(今回) 5.3 -6.9
2020年1月調査(前回) 4.1

予測指数の補正値試算

製造工業生産予測指数の先行きを試算した補正値は、2月は2.0%の上昇見込み。

なお、1月の補正値は0.5%であったが、鉱工業生産指数の1月の前月比は0.8%であった。

製造工業生産予測指数の補正値(季節調整済前月比%)

補正値 予測調査結果
2月前月比 2.0(1.0~3.0) 5.3

上段の数値が、最も可能性の高い値(最頻値)

最頻値とならない場合でも、( )の幅の中に90%の確率で収まるという計算結果になっている。

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令和2年3月5日(木)Vol.793

販売 4カ月連続前年割れ

エネ庁 1月の石油統計速報発表

資源エネルギー庁は2月28日、1月の石油統計速報を発表した。概要は次の通り。

1.原油の動向

1月の原油輸入量は1,453万㎘、前年同月比90.7%と前年を下回った。輸入量の多い順にみると、

(1)サウジアラビア(528万㎘、前年同月比79.0%)

(2)アラブ首長国連邦(465万㎘、同111.9%)

(3)クウェート(157万㎘、同143.4%)

(4)カタール(148万㎘、同116.2%)

(5)ロシア(52万㎘、同74.0%)となっている。

なお、今月の中東依存度は93.4%、前年同月に比べ5.3ポイント増と5カ月連続で前年を上回った。

2.燃料油の生産

燃料油の生産は1,426万㎘、前年同月比94.3%と3カ月連続で前年を下回った。油種別にみると、ジェット燃料油及びB・C重油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油及びA重油は前年同月を下回った。

3.燃料油の輸入、輸出

燃料油の輸入は317万㎘、前年同月比108.6%と7カ月振りに前年を上回った。輸出は269万㎘、前年同月比87.0%と9カ月振りに前年を下回った。

4.燃料油の国内販売

燃料油の国内販売は1,392万㎘、前年同月比90.2%と4カ月連続で前年を下回った。油種別にみると、ジェット燃料油は前年同月を上回ったが、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、A重油及びB・C重油は前年同月を下回った。

5.燃料油の在庫

燃料油の在庫は1,035万㎘、前年同月比107.3%と3カ月振りに前年を上回った。油種別にみると、ガソリン、ナフサ、ジェット燃料油、灯油、軽油及びA重油は前年同月を上回ったが、B・C重油は前年同月を下回った。

※添付資料

石油需給概要  2020年1月 Excel

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令和2年3月5日(木)Vol.794

粗鋼生産 6カ月連続前年比減

燃料油生産 2カ月連続前年比減

経産省 12月の生産動態統計速報発表

経済産業省は2月28日、1月の生産動態統計速報を発表した。粗鋼生産量は825.0万トンと前月比6.0%、前年同月比1.3%のともに増となり、前年同月比で7カ月連振りの増加となった。

また、石油製品生産量は燃料油計が1,426.0万㎘と前月比6.5%、前年同月比5.7%のともに減となり、前年同月比で3カ月連続の減となった。

【1月の鉄鋼生産】

銑鉄生産は646.7万トンと前月比7.5%増、前年同月比7.0%増となり、前年同月比では6カ月振りの増加となった。

粗鋼生産は824.4万トンと前月比5.9%増、前年同月比1.3%増となり、前年同月比では7カ月振りの増加となった。1月の1日当たり粗鋼生産は26.6万トンで、12月の同25.1万トン比5.9%増となった。

炉別生産では、転炉鋼が647.3万トンと前月比9.0%増、前年同月比5.6%増、電炉鋼が177.1万トンと前月比4.2%減、前年同月比12.0%減となり、前年同月比では転炉鋼は6カ月振りの増加、電炉鋼は11カ月連続の減少となった。

鋼種別生産では、普通鋼が636.2万トンと前月比6.3%増、前年同月比3.5%増、特殊鋼が188.3万トンと前月比4.4%増、前年同月比5.5%減となり、前年同月比では普通鋼は7カ月振りの増加、特殊鋼は14カ月連続の減少となった。

熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は707.6万トンと前月比4.6%増、前年同月比6.6%減となり、前年同月比では19カ月連続の減少となった。

普通鋼熱間圧延鋼材の生産は563.7万トンと前月比6.4%増、前年同月比4.2%減となり、前年同月比では6カ月連続の減少となった。

特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は143.9万トンと前月比1.8%減、前年同月比14.8%減となり、前年同月比では13カ月連続の減少となった。

主要品種の生産内訳をみると普通鋼では、鋼帯が360.0万トンと前月比11.0%の2桁増で、前年同月比も5.8%の増。冷延広幅帯鋼が144.1万トンと前月比10.7%減の2桁増だが、前年同月比5.3%減。鋼板が75.6万トンと前月比5.8%増だが、前年同月比22.2%の大幅減。小形棒鋼が57.3万トンと前月比8.5%減で、前年同月比15.1%の2桁減。H形鋼が28.0万トンと前月比5.6%増だが、前年同月比13.1%の2桁減。冷延電気鋼帯が11.0万トンと前月比14.2%、前年同月比10.9%のともに2桁増。線材が12.0万トンと前月比0.5%の微減で、前年同月比20.6%の大幅減となった。

特殊鋼では、熱間圧延鋼材が143.6万トンと前月比2.0%減で、前年同月比15.0%の2桁減。冷延広幅鋼帯が25.2万トンと前月比7.3%増で、前年同月比0.6%の微減。特殊鋼磨棒鋼・線類が15.3トンと前月比5.9%、前年同月比8.9%のともに減となった。

鋼管では、普通鋼熱間鋼管が29.8万トンと前月比4.8%微減で、前年同月比21.3%の大幅減。特殊鋼熱間鋼管が15.0トンと前月比10.8%、前年同月比19.5%のともに2桁増となった。

めっき鋼材では、亜鉛めっき鋼板が83.7万トンと前月比10.2%の2桁増だが、前年同月比8.4%減となった。

【1月の鉄鋼出荷】

1月の主要品種の出荷を品目別にみると、普通鋼ではと鋼帯が170.6万トンと前月比3.5%減だが、前年同月比15.8%の2桁増。冷延広幅帯鋼が47.0万トンと前月比7.3%減で、前年同月比13.9%の2桁減。鋼板が71.3万トンと前月比6.3%減で、前年同月比21.5%の大幅減。小形棒鋼が59.0万トンと前月比2.8%減で、前年同月比11.7%の2桁減。H形鋼が26.8万トンと前月比3.0%減で、前年同月比17.9%の2桁減。線材が11.5万トンと前月比5.0%増だが、前年同月比14.7%の2桁減となった。

特殊鋼では、熱間圧延鋼材が96.4万トンと前月比5.9%減で、前年同月比17.5%の2桁減。冷延広幅帯鋼が21.8万トンと前月比0.4%の微減で、前年同月比2.3%減。特殊鋼磨棒鋼・線類が14.6万トンと前月比4.2%、前年同月比8.0%のともに減となった。

鋼管では、普通鋼熱間鋼管が25.4万トンと前月比2.6%減で、前年同月比20.5%の大幅減。特殊鋼熱間鋼管が13.2万トンと前月比22.2%の大幅増で、前年同月比も13.8%の2桁増となった。

めっき鋼板では、亜鉛めっき鋼板が76.6万トンと前月比1.0%増だが、前年同月比7.8%減となった。

【1月の石油生産】

1月の石油製品の生産を油種別みると重油が252.9万㎘と前月比1.1%減だが、前年同月比1.3%増。ガソリンが409.3万㎘と前月比12.4%の2桁減で、前年同月比も6.2%減。軽油が325.3万㎘と前月比9.0%、前年同月比7.6%のともに減。暖冬を背景にした灯油が170.9万㎘と前月比0.8%の微減で、前年同月比14.1%の2桁減。ナフサが157.7万㎘と前月比1.3%、前年同月比9.0%のともに減。ジェット燃料油が110.0万㎘と前月比2.7%減だが、前年同月比7.6%増。液化石油ガスが27.5万トンと前月比0.3%の微増だが、前年同月比22.9%の大幅減。アスファルトが29.5万トンと前月比18.7%の2桁増で、前年同月も比7.0%増。潤滑油が19.3㎘と前月比13.6%の2桁増で、前年同月比も1.8%の増となった。

【1月の石油出荷】

1月の石油製品の出荷をみると、燃料油計で1,659.4万㎘と前月比10.2%減で、前年同月比も7.7%減となった。

油種別では、重油が252.6万㎘と前月比9.5%、前年同月比2.7%のともに減。ガソリンが417.0万㎘と前月比13.0%の2桁減で、前年同月比3.2%減。軽油が319.0万㎘と前月比16.1%の2桁減で、前年同月8.5%減。暖冬が響いた灯油が191.6万㎘と前月比10.1%の2桁減で、前年同月比20.5%の大幅減。ナフサが363.9万㎘と前月比1.2%、前年同月比9.5%のともに減。ジェット燃料油が114.7万㎘と前月比10.5%の2桁減で、前年同月比0.6%の微減。液化石油ガスが40.7万トンと前月比6.5%減で、前年同月比13.6%の2桁減。アスファルトが19.3万トンと前月比5.4%減だが、前年同月比12.3%の2桁幅。潤滑油が18.5万㎘と前月比7.3%、前年同月比6.1%のともに減となった。

【1月のコークス・石灰石】

1月のコークスの生産は、276.6万トンと前月比2.7%増だが、前年同月比0.9%の微減。出荷は69.2万トンと前月比7.1%減だが、前年同月比2.7%増となった。

1月の石灰石の生産は、1,081.4万トンと前月比8.9%、前年同月比1.0%のともに減。出荷は845.2万トンと前月比11.9%の2桁減で、前年同月比も3.7%減となった。

※添付資料

鉄鋼統計速報 2020年1月 Excel

資源エネルギー統計速報 2020年1月 Excel

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